研究課題/領域番号 |
21H01796
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 陽太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30631676)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | テラヘルツ / マルチフェロイクス / 光起電力 / 光起電力効果 / 光物性 / 磁性体 |
研究開始時の研究の概要 |
シフトカレント機構はバルク光起電力効果の機構の一つである。一般的には、バンド間遷移によってシフトカレント機構に由来した非散逸電流が生じるが、近年、磁性強誘電体マルチフェロイクス中の磁気励起「エレクトロマグノン」の共鳴励起により、シフトカレント機構を介した光電流が生じるという理論が提唱された。テラヘルツ光の照射により絶縁体中で光起電力効果が期待できる。本研究では、バンド間遷移を介さない光起電力効果であるエレクトロマグノン励起によるテラヘルツシフトカレントの存在を実証し、学理構築、機能性の探索を行い、テラヘルツ光電流デバイスの基礎を築く。
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研究成果の概要 |
シフト電流メカニズムはバルク光起電力効果を記述するメカニズムのひとつであるが、近年バンド間遷移に限らず、テラヘルツ帯の素励起の光生成により光起電力効果が生じることが理論的に提唱されていた。その候補となるマルチフェロイクス中のエレクトロマグノン励起による光起電力効果の検証を行った。ペロブスカイト型マンガン酸化物を用いて交換歪機構に由来したエレクトロマグノンをテラヘルツ光で励起した結果、自発的に空間反転対称性が破れるサイクロイド型磁性相で直流電流が生成されることを明らかにした。また、偏光依存性から磁気励起のモード依存性、温度依存性から非線形電導度の臨界現象の存在を見出すことに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光子を電流に変換する光起電力効果は現代の科学技術を支える重要な基盤である。一般的には半導体のバンド間遷移を用いることで光を電流に変換するが、この原理を直接テラヘルツ帯へ適用することは困難であり、テラヘルツ技術が発展途上である理由のひとつになっている。ここでは、マルチフェロイクス中のスピン励起の共鳴を利用することで、テラヘルツ光を電流に変換することに成功した。絶縁体中で伝導に寄与するキャリアが無くとも、光起電力が生成可能であることを実証し、量子幾何学的な効果に由来するシフト電流機構の有効性を実証できた。また、将来的にはテラヘルツ光の電流変換機能としての活用が期待できる。
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