研究課題/領域番号 |
21H01924
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長田 裕也 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任准教授 (60512762)
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研究分担者 |
水野 雄太 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (10846348)
田畑 公次 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (20814445)
辻 信弥 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任助教 (30873575)
小林 正人 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40514469)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | 自動合成 / 量子化学計算 / 機械学習 / 強化学習 / 自動スペクトル解析 / ロボット合成 / 自動分析 / 自動有機合成 |
研究開始時の研究の概要 |
有機合成研究において、反応条件の最適化のために多大な労力を費やし続けている。本研究は、自動合成ロボットと量子化学計算によって得られる分子記述子を用いた強化学習を用いることで、反応条件の最適化を飛躍的に加速させることを目的としている。本研究では自動合成ロボットと分析装置を直結させ、情報科学的手法によって解析した上で自動合成ロボットに対してフィードバックを繰り返すことで、有機反応開発の迅速化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、自動合成ロボットと各種分析装置の直接接続によって実験結果のフィードバックを実現し、実験結果を受けた強化学習を行うことで迅速に最適条件へと到達できるシステムの開発を行うことを目的としている。これまでの検討によって、自動合成ロボットと超臨界流体クロマトグラフィーの直接接続によって、反応条件の検討と自動的な分析を高速に行うことができることを見出している。2022年度の研究では、自動合成ロボットを用いたアミド化反応及びパラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応について検討を進めた。アミド化反応の検討では、種々のアミン類とカルボン酸に対して縮合剤を用いたアミド化反応を自動的に行い、反応性生物の自動精製と自動分析を進めた。種々の反応生成物について網羅的に超臨界流体クロマトグラフィーを用いた分析を行い、生成物の構造と保持時間に関して検討を進め、構造から保持時間を予測する機械学習モデルの構築を進めた。さらに、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応に関する検討では、パラジウム源と配位子の組み合わせについて自動合成ロボットを用いた検討を進め、反応性と配位子の構造及び電子的影響の相関について情報化学的アプローチを用いた予測を行うことで、各種の記述子を用いて反応性及び選択性の予測が可能であることを確認した。これらの検討を通じて、自動合成ロボットと分析装置の直接接続による実験結果の自動分析及びそのフィードバックについて必要な要素技術の確立に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自動合成ロボットと各種分析装置を直接接続したシステムについて、十分に検討が進んでおり、得られたデータの自動分析およびその情報化学的分析についても検討が進みつつある。現在、複数の反応点を有する反応基質に対する化学選択性に関する検討についても自動合成ロボットを用いて進めており、既に予備的な知見が得られている。以上より、本研究課題は概ね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究では、これまでに開発してきた技術を統合して自動合成ロボットへ強化学習アルゴリズムを実装し、実際に有機合成実験を行うことで本システムの実証を行う。複数の反応点を持つ基質に対して遷移金属触媒を用いた反応を試み、その化学選択性を超臨界流体クロマトグラフィーを用いて測定し、反応条件を自律的に変化させることで、高い選択性を示す反応条件を自動的に見出すことを目指す。この検討においては、従来用いられてきた分子記述子だけでなく、量子化学計算による遷移状態計算に基づいた記述子の利用が効果的であることが予備的検討から明らかになっており、新記述子の簡便な導出法についても検討を進める。また自動測定を行ったデータの公開を行うことで、新たな解析手法開発のための基礎データとなることを期待している。
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