研究課題/領域番号 |
21H01983
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
関 隆広 名古屋大学, 工学研究科, 名誉教授 (40163084)
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研究分担者 |
原 光生 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10631971)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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キーワード | 光配向 / 光照射 / RAFT重合 / 液晶 / 光制御 / 自由界面 / アゾベンゼン / 液晶高分子薄膜 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、刺激応答機能を組み込んだ重合法の開拓が進んでいる。光照射で重合の進行のオン/オフを制御できる重合法もその一つである。研究提案者は液晶分子や液晶高分子薄膜の光配向法をその発見当初から研究に携わり、多くの経験と知見を蓄積している。本研究では、近年発展した光制御重合と光配向の手法と融合し、光照射にて重合を制御しながら同時に光配向を施すこれまでにない光応答重合システムの創出を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、刺激応答機能を組み込んだ重合法の開拓が進んでいる。光照射で重合の進行のオン/オフを制御できる重合法もその一つで、米国や豪州からの報告をきっかけとして、ここ数年世界中で急激に研究が進展している。本研究では、近年発展した光制御重合と光配向の手法と融合し、光照射にて重合を制御しながら同時に光配向を施す、これまでにない光応答重合システムの創出を目指す。具体的には、アゾベンゼンを有するRAFT剤(高分子および低分子)を合成し、バルク、基板表面と空気界面から液晶性モノマーを薄膜中にて、光電子移動を組み込んだオン/オフ制御と光配向制御を試みた。 令和3年度にて、基板にモノマーを挟むことなく、片面を空気へ露出させた状況でdewettingを起こさずに安定した薄膜を得る方法を開発した。市販のRAFT剤にフッ素部位を導入し、このRAFT剤をモノマー分子に少量混合させて、表面偏析させ、イリジウム錯体の光触媒の存在下、重合させる条件を種々検討した。その結果、適切な膜厚とRAFT剤の量の条件を見出し、空気側から光で触媒を介して空気側から重合を進行させることに成功した。令和4年度は、得られた液晶高分子膜の構造評価としてPOM観測やGISAXS測定を行い、その構造特性を評価した。 さらに、令和4年度ではこうした重合系と関連して、基板表面上でのアゾベンゼンポリマー薄膜ネマチック性のシアノビフェニル液晶分子が接触することで、その界面にて各々の物質では現れない高度なスメクチック構造が形成されることを、独自のX線測定で見出したので、この現象の理解へ向けた検討も進めた。アゾベンゼン高分子を塗布した基板に5CB液晶を接触させた際に、直ちに高度なスメクチック構造が得られるとともに、数十分かけてその構造と配向が変化する様子をリアルタイムでPOM観測やGISAXS測定にて追跡することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自由界面から重合させるうえでの大きな課題は、モノマーが低粘性であり、重合に適した100℃付近の温度では、基板上の薄膜がdewettingを起こしてしまい、膜形態を保つことができないことであった。実験過程で基板表面を液晶高分子の単分子膜レベルの超薄膜で修飾することにより、この問題を解決することができた。RAFT剤を空気表面側に偏析させるためにフッ素原子を導入し、光重合条件は良好に最適化することができ、分子量10万弱の高分子薄膜が再現よく得られる条件を見出すことができた。また、キャラクタリゼーション手法についてもほぼ確立できている。 今後、光重合と光配向の同時制御を試みた条件設定を探索しているが、上記の研究進捗から、おそらくその条件は平成5年度の一年で見出すことができると期待しており、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗状況で報告した通り、現時点で研究は順調に進捗しており、計画を変更する必要はなく計画通りに検討を進めていく。次の課題として、光重合と光配向を同時に進行させる手法開発であるが、アゾベンゼンを組み込んだRAFT剤を用いるか、モノマー中に数パーセントアゾベンゼン誘導体を混ぜることで、その実証が可能であると考えている。
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