研究課題/領域番号 |
21H01999
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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研究分担者 |
内橋 貴之 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30326300)
中薗 和子 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30467021)
呉羽 拓真 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60836039)
藤本 和士 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (70639301)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | ゲル微粒子 / ナノゲル / 高分子構造 / 高分子機能 / 高分子微粒子 / 高速AFM / 微粒子合成 / 微粒子機能化 |
研究開始時の研究の概要 |
私達の体の中にある血管はミクロ空間であり、血液が高速で流動している。そのような場において、自在な移動を可能とする新たな高分子微粒子(ハイドロゲル微粒子)を開発する。従来、トレードオフの関係にあった柔らかさと耐久性を兼ね備えた、新規ゲル微粒子を開発し、ゲル微粒子のナノ構造と力学特性の関係を解明する。そのための手法として、実験的手法と計算機シミュレーションを併用する。以上を通じ、血管のようなミクロ流動場を、自在に移動できるゲル微粒子の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
初年度に引き続き、水溶性を示す擬ロタキサンを活用することで、新規ゲル微粒子の合成検討を実施した。この際、擬ロタキサンが重合中に構造を崩壊してしまうという課題に直面したため、重合法の全面的な見直しを行った。その結果、擬ロタキサン構造をできるだけ維持したうえで、ゲル微粒子に導入する主張を見出し、その結果、目的とするロタキサン架橋構造を有する新規ゲル微粒子の合成に成功した。 更に、構造が明確なロタキサン架橋剤をゲル微粒子に導入することにも成功した。この際、ミニエマルション重合法を適用した。すなわち、微小水滴内にモノマーや架橋剤を溶解させ、ラジカル重合法を実施することでゲル微粒子を得た。一般的に、ミニエマルション重合法により得られる微粒子のサイズ分布が広いのに対し、かなり粒子径分布が狭いゲル微粒子を得ることに成功した。これらの強靭性を確かめるために、ゲル微粒子をフィルム化して力学試験を実施した。特に、一軸伸長試験を行ったところ、一般的な化学架橋を施したゲル微粒子からなるフィルムと比較し、2倍以上も破断ひずみが増加した。すなわち、強靭なゲル微粒子フィルムを作成することができた。 その他にも、別の観点から、本ゲル微粒子の力学特性評価を実施した。特に、原子間力顕微鏡法を活用することで、単一ゲル微粒子の強靭性の評価を実施した。従来の化学架橋を施したゲル微粒子と比較し、本開発ゲル微粒子は、壊れにくい事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造が明確なロタキサン架橋剤を導入したゲル微粒子を合成することに成功したため。また、得られたゲル微粒子が、構造由来の特異的な力学機能の発現をすることを見出したため。こうした微粒子をさらに構造設計することにより、より高度な力学機能の発現に挑戦できる。
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今後の研究の推進方策 |
構造が明確なロタキサン架橋を有するゲル微粒子の多様化に挑戦する。このことにより、ゲル微粒子の力学特性の全容解明を目指していく。最終的には、高速流動場において柔らかさの有効性を発揮するうえで十分な強靭性を有するゲル微粒子を開発する。重合法によって制御したゲル微粒子内の微細構造を、高速AFMや放射光散乱測定により定量評価する。そして、ナノ構造と強靭性の相関関係の解明に挑む。さらに、血管を模倣したマイクロ流路の実験を通じ、ゲル微粒子の流動制御に重要な因子を解明する。
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