研究課題/領域番号 |
21H02001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 一生 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90435660)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 近赤外 / 共役系高分子 / 発光 / 超原子価 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は最近、14族高周期元素が超原子価状態でπ共役系分子の最高占有軌道(HOMO)上昇と最低非占軌道(LUMO)下降を同時に起こす(同時異方向摂動効果)という新しい狭エネルギーギャップ化の機構を見出した。本研究では、この効果を共役系高分子の主鎖共役に適用し、そこから得られる新物性の体系的理解を学術的な「問い」として学理を探究する。具体的には、安定性の高い超原子価Sn・Ge錯体を中心として共役系高分子を合成し、光・電子物性の調査と、発光材料への応用を図る。近赤外発光性高分子、ベイポクロミズム発光性高分子フィルム、メカノクロミズム発光性高分子フィルムの理論的設計指針の確立が期待できる。
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研究成果の概要 |
本研究では、可視光領域の光は透過し近赤外光でのみ太陽光発電を可能とするための透明近赤外吸収発光性高分子の開発を行う。700 nm以上の波長の光は太陽光の55%を占める。ここで、太陽光発電パネルが黒色であることから、建物の窓の部分には設置できない。もし可視光を透過し、一方で近赤外光を効率よく吸収し、さらに励起子を効率よく伝達できる物質が存在するならば、窓でも太陽光に含まれる近赤外光で発電を行うことが可能となる。この目標の実現のため、共役系高分子を足場として可視光を透過し近赤外光のみ吸収する発光材料開発を行った。アゾベンゼン錯体を持つ高分子において置換基効果により目的を達成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では例として透明で近赤外発光を示す材料を得ることができた。また、近赤外吸収による光発電効率の向上の他に、さらなる用途についても応用展開が期待できる。例えば、植物の生育抑制については750 nm程度の光が有用であることが分かっている。本研究で得られた材料は可視光を透過し、近赤外領域の光を吸収することができるので、光合成の効率は維持しつつ太陽光の中の近赤外光成分を除去することで、植物の生育を劇的に向上するフィルム材料の創出が期待できる。それぞれの用途において特に発光波長の調節と効率向上について引き続き材料開発を進めていくことで成果の普及を目指す。
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