研究課題/領域番号 |
21H02002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
塩野 毅 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10170846)
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研究分担者 |
中山 祐正 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20273576)
田中 亮 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (60640795)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | ポリオレフィン / シクロオレフィンコポリマー / エラストマー / ブロックポリマー / ライブラリー / ポリプロピレン / エチレンプロピレンゴム / ポリジエン / ブロック共重合体 / 高性能化 / リサイクル |
研究開始時の研究の概要 |
オレフィンとブタジエンとの共重合により主鎖に少量の1,4-ブタジエン単位を有するポリエチレン,ポリプロピレン,シクロオレフィン共重合体を合成し,これらのポリマー間のオレフィンメタセシスによりマルチブロック共重合体を合成する.また,これら主鎖に二重結合を有するポリオレフィンとcis -1,4 ポリブタジエンやcis-1,4 ポリイソプレンとオレフィンメタセシスすることで新規ポリオレフィン/ポリジエンマルチブロック共重合体を合成し,さらにポリジエン部分を水素化したポリマーも合成する.得られたポリマーの物性を評価し代表的な炭化水素系ポリマー連鎖からなるブロックコポリマーライブラリーの構築を目指す.
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研究実績の概要 |
錯体触媒によりリビング配位重合が可能となり,エチレン,プロピレン, 1-アルケン,ノルボルネンからなるさまざまなブロック共重合体が合成され,それらの優れた特性が明らかとなりつつある.しかし,リビング重合ではポリマー鎖と当量の触媒を必要とし,また,オレフィンと共役ジエンいずれにも有効なリビング重合触媒は存在しない.実施者は,これまでに適切な触媒を選択しエチレン,プロピレン,ノルボルネンとブタジエンの共重合を行うことでブタジエンが主鎖に1,4-挿入したポリオレフィンの合成に成功している.本研究では,これらのポリオレフィン同士,ならびにエラストマーとして重要なcis-1,4 ポリブタジエンやcis-1,4 ポリイソプレンとオレフィンメタセシスすることによりマルチブロックコポリマーを合成,物性を評価することで炭化水素系ポリマーライブラリーを構築し,それらの高分子材料の可能性を明らかにする. 2022年度は実施者の既報に従いイソ特異的ジルコノセン触媒を用いてプロピレンと少量のブタジエンとの共重合を行い主鎖にブタジエンが1,4-挿入したイソタクチックポリプロピレン(iPP)を合成した.さらに,同触媒系を用いてエチレン/プロピレンと少量のブタジエンとの三元共重合を行うことで,主鎖にブタジエンが1,4-挿入したエチレンプロピレンゴム(EPR)が得られることを明らかにした.これらのポリマーをGrubbs第2世代触媒によりクロスメタセシスすることによりハードセグメントをiPP,ソフトセグメントを(EPR)とするブロック共重合体の合成に成功し,物性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニッケル錯体触媒により少量のジエンを含むノルボルネン/ジエン共重合体(P(NB/Bd))を合成し,代表的なエラストマーであるcis-ポリブタジエン(PBd)とのクロスメタセシスにより,ポリノルボルネンをハードセグメント,ポリジエンをソフトセグメントとする新規マルチブロック共重合体の合成を検討した.メタセシス触媒(Grubbs第2世代)をcis-PBdと反応させた後にP(NB/Bd)を反応させることでブロック共重合体は合成しうるが,反応時間を長くするに従いcis-PBd連鎖部分がtrans-PBdに異性化するとともにバックバイティングによる低分子量環状体が副成した. ハードセグメントのガラス転移温度を制御するためチタン錯体触媒を用い少量のイソプレンが1,4-挿入したノルボルネン/1-オクテン共重合体(P(NB/O/Ip))を合成し,cis-ポリイソプレン(PIp)とのクロスメタセシスを行った.PIpのメタセシス(バックバイティング)による低分子量体の生成は確認されたが,PIp とP(NB/O/Ip)とのクロスメタセシスは認められなかった. ジエンポリマーとのクロスメタセシスではバックバイティングによる低分子量体の生成が避けられないことから,ソフトセグメントをエチレンプロピレンゴムに変更することとした.プロピレン/ブタジエン共重合に有効なイソ特異的ジルコノセン触媒を用いてエチレン/プロピレンと少量のブタジエンとの三元共重合を行った結果,主鎖にブタジエンが1,4-挿入したエチレンプロピレンゴム(EPR/Bd)が得られることを明らかにした.同触媒を用いて合成した少量のブタジエンが主鎖に1,4-挿入したイソタクチックポリプロピレン(iPP/Bd)とEPR/BdをクロスメタセシスすることによりiPPとEPRからなるブロック共重合体が得られることを明らかにし,物性を評価した.
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今後の研究の推進方策 |
ポリジエンをソフトセグメントとするクロスメタセシスでは低分子量体の副成が避けられないことが判明したことから, EPR/Bd をソフトセグメントとして用いたクロスメタセシスに注力する.最も生産量の高いiPPについて,ブタジエン含率の異なるiPP/BdとEPR/Bd をクロスメタセシスすることで,それぞれのブロック連鎖長が物性に及ぼす効果について明らかにする.また,iPP の熱分解により両末端に二重結合を有するテレケリックiPP が得られることが報告されている.最近パイロットプラントも稼働し,サンプルの入手が可能となった.そこで,熱分解iPP とEPR/Bdとのクロスメタセシスによる廃プラスチックのアップグレードリサイクルの可能性についても検討する.
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