研究課題/領域番号 |
21H02090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
中尾 淳 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80624064)
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研究分担者 |
矢内 純太 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00273491)
奥村 雅彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (20386600)
小暮 敏博 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (50282728)
和穎 朗太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80456748)
山口 瑛子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (80850990)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 元素組換え雲母 / 分子シミュレーション / XAFS / TEM / XRD / 吸着選択性 / フレイドエッジサイト / 元素置換 / 放射性セシウム / 密度汎関数法 / STXM / EXAFS解析 / X線回折分析 |
研究開始時の研究の概要 |
層間イオンの種類や腐植による被覆率が異なる雲母系鉱物を実験的あるいは一部理論的に再現し,これらの組み合わせが雲母系鉱物のCs固定能およびK放出に与える影響を網羅的に解析する。さらに,実験的に調製した雲母系鉱物を対象に根圏栽培試験を行い,栽培後の植物中のCs増加量や土壌鉱物中の組成変化を調べるとともに,電子顕微鏡による鉱物中の微細構造の観察,理論計算による構造安定条件の探索等を行うことで放射性Csの植物移行リスクの背景となるメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
具体的内容 黒雲母は放射性セシウム (RCs) 吸着とカリウム(K)供給という2つの機能により土壌から植物へのRCs移行を抑制するが、これらの機能を分けて調べることは困難であった。そこで、黒雲母のシート層間に元々存在しているKを一部もしくは大部分をルビジウム(Rb)またはカルシウム(Ca)と置換することで2つの機能が大きく異なる5種の風化黒雲母を調製した。これらを5wt%混入させた培地土壌(黒ボク土)に微量のCsイオンを添加後110日間エイジングを行い、ライグラスを用いた根圏栽培試験を行った。その結果、現時点ではCs吸着能よりもK放出能の違いがCsの移行係数を規定している傾向が示されている。なお、Rb置換型の風化黒雲母は、ほぼ同じ膨潤状態のK型の風化黒雲母よりもCs吸着能力が小さいという興味深い実測結果が得られた。この原因を明らかにするために、黒雲母よりも構造が単純な白雲母のフレイド・エッジ・モデルを用いたシミュレーションを実施し、Rb型とK型の雲母層間におけるCsイオンの安定性に関するエネルギー計算を行ったところ、理論的にもRb型の雲母層間の方が吸着Csの安定性が低いことを検証することが出来た。
意義・重要性 福島の農地土壌に比較的多く含まれている風化黒雲母がRCsの作物吸収抑制に効果的であることは知られていたものの、その効果の実態が層間でのCs吸着なのか、それとも層間からのK放出なのか、あるいは両方とも重要なのか。その実態はこれまで未解明なままであったが、本研究により明らかに出来る可能性が高まった。Csの層間吸着現象を実験化学と計算科学の両面から捉える試みも斬新であり、当該分野における異分野融合型の研究の発展に寄与している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画以上に進んだこととして、元素置換型雲母の層間でのCs安定性に関して、化学分析と計算科学によるシミュレーションの結果を良く一致させることが出来た。また、新型コロナやウクライナ紛争の影響で植物栽培試験に用いる栽培キット(Rhizotest)の輸入に時間を要したため、栽培装置(Rhizotest)の導入と条件検討がやや遅れたものの、最終的には栽培試験の目標工程の60%程度まで終わらせることができた。実験プロトコルは既に確立していて2023年度前半には全て終了する予定である。それ以外は大きなトラブルも仮説を悪い方向に覆すような結果も出ておらず、極めて順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Rhizotestを用いた根圏栽培試験の方法論も確立し、既に5wt%の風化黒雲母5種を用いた栽培試験に成功している。今後は10wt%に混入量を増加させることでCs吸着能およびK放出能をさらに増強した土壌を培地に用いて栽培試験も行うことで、Csの土壌-植物間移行係数を規定する要因解析に用いるデータセットの充実化を図る。これによりCsの移行係数の変動を規定する因子の解明を試みる。また、得られた成果については今年度のうちに公表を進めていく。
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