研究課題/領域番号 |
21H02107
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
善藤 威史 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50380556)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 抗菌ペプチド / バクテリオシン / 乳酸菌 / 抗菌タンパク質 / 生合成機構 |
研究開始時の研究の概要 |
乳酸菌が生産する抗菌ペプチド・バクテリオシンは、低濃度で強力な抗菌活性を有し、安全な抗菌物質として期待される。これまでに特徴的な構造と活性をもつ多種多様な新奇乳酸菌バクテリオシンを見出し、これらの新しい生合成・作用機構を明らかにしつつある。本研究では、特異な構造と活性をもつものをさらに探索するとともに生合成・作用機構を明らかにし、新奇バクテリオシン群の実用と生合成機構を利用した新奇抗菌ペプチドの創出に向けた分子基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
乳酸菌が生産する抗菌ペプチド・バクテリオシンは、低濃度で強力な抗菌活性を有し、安全な抗菌物質として期待される。我々は、これまでに特徴的な構造と活性をもつ多種多様な新奇乳酸菌バクテリオシンを見出し、これらの新しい生合成・作用機構の一端を明らかにしてきた。本研究では、特異な構造と活性をもつ乳酸菌バクテリオシンをさらに探索するとともに、これまでに見出したものも含めた多様な新奇乳酸菌バクテリオシンの生合成・作用機構を明らかにし、新奇バクテリオシン群の実用と生合成機構を利用した新奇抗菌ペプチドの創出に向けた分子基盤の確立を目指している。 種々の分離源から新たに分離した乳酸菌より、特異な活性を示すバクテリオシンを見出し、その精製・構造解析および特性の解析を行った。また、バクテリオシンの構造と生合成機構を明らかにするため、バクテリオシン生産乳酸菌のドラフトゲノム解析を行い、生合成遺伝子群の特定・解析を行った。その結果、クラスIIに分類される複数の新奇バクテリオシンの構造を決定した。また、クラスIIIに分類されることが予想される分子量の大きいバクテリオシンを見出し、その溶菌活性を明らかにするとともに、構造と活性の相関解析を継続している。 一方、環状バクテリオシンであるあるエンテロシンNKR-5-3Bについては、分泌や自己耐性に関わるタンパク質の特性を明らかにした。また、多成分バクテリオシントランスポーターについては、その分泌やリーダーペプチド切断活性に必須のアミノ酸残基を特定するとともに、異種クラスIIバクテリオシンの分泌発現への有効性が実証された。さらに、糖付加型バクテリオシン・グリコシンであるエンテロシンF4-9の生合成遺伝子群について異種発現による解析を行い、最小生合成遺伝子群を特定するとともに、各生合成遺伝子の機能を実証した。リーダーレスバクテリオシンについても同様の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特性の異なる種々の乳酸菌バクテリオシンが得られ、一部については新しい構造が明らかとなり、構造解析中のものも複数ある。新奇性が高いと判断されるバクテリオシンについては、生産乳酸菌のドラフトゲノム解析によるバクテリオシンの構造決定と生合成遺伝子群の解析も進んでいる。一方、環状バクテリオシン、リーダーレスバクテリオシン、グリコシンなどの特異な構造を有するバクテリオシンの生合成必須遺伝子群が特定され、異種発現系の構築とそれを利用して取得した欠損株や変異株の解析により、生合成遺伝子群の機能解析も順調に進展している。多成分バクテリオシントランスポーターについても、異種発現系を用いた変異体の構築と解析によって機能部位の解析が進展した。また、このトランスポーターが種々のクラスIIバクテリオシンの分泌にとくに有効であることを実証した。これは、新奇抗菌ペプチドの分泌生産系の構築につながる重要な成果である。クラスIIIバクテリオシンについても、今後の進展につながる異種発現系の構築に成功した。 以上のように、種々のバクテリオシンの構造や生合成・作用機構について、研究はおおむね順調に進展しており、今後の新奇バクテリオシン群の実用と生合成機構を利用した新奇抗菌ペプチドの創出に向けた重要な成果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており、構造や活性に特徴を持つ新奇性の高いバクテリオシンについて、とくに優先的に研究を進める。これまでに多数のバクテリオシン生産乳酸菌が得られており、バクテリオシンの構造解析以降の段階に重点を移しながら研究を進める。また、ドラフトゲノム解析を活用しながら、分離株から新たな構造・遺伝子情報の取得を図るとともに、データベース上に見出されるバクテリオシン様配列についても、構築した分泌発現系等を活用しながら、その抗菌活性や作用機構の解析を進める。生合成・作用機構については、リーダーレスバクテリオシンと環状バクテリオシンの共通点に着目しながら、とくに分泌機構、自己耐性機構の解明を図る。これら以外にも、多種多様なバクテリオシンとその生合成遺伝子群を利用できる優位性を活用しながら、新奇バクテリオシン群の実用と生合成機構を利用した新奇抗菌ペプチドの創出に向けた分子基盤の確立を目指す。
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