研究課題/領域番号 |
21H02144
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 圭祐 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40580460)
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研究分担者 |
加藤 竜司 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (50377884)
伊藤 創平 静岡県立大学, 食品栄養環境科学研究院, 准教授 (70372836)
中野 祥吾 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (80748541)
寺田 祐子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80767632)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 食品 / フレーバー / 感覚受容体 / 機械学習 / 味覚 / 嗅覚 / 受容体 / 味覚受容体 / 嗅覚受容体 / おいしさ |
研究開始時の研究の概要 |
食品のおいしさにおいて、味と香り(フレーバー)の知覚は重要である。本研究では、ヒト味覚・嗅覚受容体の応答を指標として食品の味と香りを客観的・定量的にプロファイリングできる新技術の確立を目指し、ヒト味覚・嗅覚受容体の新規網羅的解析法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、実用的なヒト味覚・嗅覚受容体応答の新規網羅的解析法の開発である。ヒトにおける食品フレーバーの感知は、約440種類の味覚・嗅覚受容体のうち、どの受容体がどれだけ活性化したのかという応答パターンによって決定されることから、全受容体を対象とした応答の全体像を明らかとする必要がある。従来のヒト味覚・嗅覚受容体解析法のほとんどは1つの受容体と1つのフレーバー成分との対応関係を解析するものであるが、本研究で開発する新規解析法は、1つのフレーバー成分に応答する全440種類のヒト味覚・嗅覚受容体応答を同時かつ定量的に解析できる点が特徴である。 これまでに我々は、全受容体発現細胞群を用いた網羅的解析を可能とするため、ヒト味覚・嗅覚受容体応答細胞を同一プラットフォームで、GFP蛍光によって可視化できるレポーターアッセイ系を構築した。受容体の活性化により増加した細胞内セカンドメッセンジャーがシグナル伝達を引き起こし、活性化した転写因子が検出用ベクター中の応答エレメントに結合することで、下流にコードされたレポータータンパク質が発現することを原理とするものである。さらにセルソーターを用いた細胞分取技術を組み合わせることで、ヒト味覚・嗅覚受容体の網羅的解析が可能となり、柑橘類の主要香気成分であるリモネンなど、実際にいくつかの食品サンプルについての網羅的受容体解析データを取得することに成功した。また、分注ロボットを用いた、発光測定を原理とする嗅覚受容体の網羅的解析システムも併せて開発した。本系では、ヒト嗅覚受容体をHEK細胞に発現させ、受容体活性化後に細胞内で増加するcAMPを改変型ルシフェラーゼによって検出することで、受容体応答を発光量として定量解析できる。これらの成果により、食品フレーバープロファイリング法の確立に向けた基盤技術が整備された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響で一部のプラスチック製品が入手困難、値上がりとなっているが、全体としては当初予定していた研究計画通りに進捗しており、特に大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、開発した味覚・嗅覚受容体の網羅的応答評価技術を食品フレーバープロファイリングに応用し、様々な食品を判別できるAI(機械学習モデル)の開発を試みる。具体的には、各種食品から香気成分を抽出し、全400種類のヒト嗅覚受容体応答を網羅的に解析する。なお、続いて進める機械学習はPythonのライブラリであるscikit-learnのclassificationアルゴリズムでの解析を検討するが、サンプルの選択は最終的なAIの質に直接影響するため、受容体解析データの取得はAI開発と並行して進める。また、食品の種類によって顕著に応答に差のある受容体の候補が見出されてきた後は、解析対象の受容体を絞る代わりにデータ数(素材サンプル数)を増やすことで、より精度の高い判別モデルの開発に繋げる。さらに並行して、受容体応答感度の向上を目指した受容体発現量の改善、アクセサリー分子の最適化なども進めていく予定である。
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