研究課題/領域番号 |
21H02208
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 教授 (60469848)
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研究分担者 |
龍田 勝輔 佐賀大学, 総合分析実験センター, 助教 (00565690)
澤畠 拓夫 近畿大学, 農学部, 准教授 (80709006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 幼生生殖 / タマバエ / 繁殖モード転換 / 菌食性 |
研究開始時の研究の概要 |
菌食性のタマバエの中には、幼虫の体内で 卵巣が発達し、“母幼虫”が子幼虫を産む幼生生殖を示す種がいる。研究代表者らは、幼生生殖タマバエを国内で発見し、その室内実験系を既に確立した。さらに、それらが幼生生殖と完全変態(幼虫期に卵巣は発達せず、蛹・成虫を経て産卵)とを切り替えることも確認した。幼生生殖は増殖効率が並外れて高い繁殖様式であるが、タマバエ科以外ではこれまで甲虫目の1種でしか知られていない極めて特殊な性質である。本研究では、菌食性タマバエにおいて幼生生殖が生じるメカニズムを解明し、なぜ菌食性の一部の種でのみこの特殊な性質が見られるのか、資源利用の観点から適応的意義を解明する。
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研究実績の概要 |
幼生生殖とは、幼虫または蛹段階で卵巣が発達し、「母幼虫」または「母蛹」が「子幼虫」を産生するという特殊な繁殖様式であり、昆虫では甲虫目で1種とハエ目タマバエ科の複数種でしか確認されていない。 これまで日本国内では、海外産の菌糸由来とみられるきのこ栽培施設内でしか幼生生殖タマバエは確認されていなかった。本研究により、国内各地の土着きのこ類から幼生生殖性を示す様々なタマバエを発見し、多くの系統についてエノキタケ菌糸を用いた累代飼育に成功した。 これまでのところ、国内にはMycophila属, Heteropeza属、Leptopsyna属など、少なくとも5属のタマバエが生息していることが判明した。これらに加えて、未だ成虫が得られておらず、属の所属が未解明の種も確認されていることから、日本国内に多様な幼生生殖タマバエが生息しているという実態が明らかになってきた。 2021年度は、得られたタマバエ類の分類学的地位の精査、発育増殖特性の調査、モード転換機構の解明に向けた実験を進めた。 Mycophila属の一種に関しては、同属の既知種と形態的特徴を比較した結果、未記載種の可能性が高いことが判明した。また、温度別に飼育実験を行い、温度が発育増殖に及ぼす影響を明らかにした。本種は27℃付近でもっとも増殖速度が速いことや、30℃では発育遅延が生じることなどを明らかにした。また、幼生生殖時の世代期間、発育ゼロ点、有効積算音量などを産出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半導体の供給不安定や需要増加の影響で、バイオマルチイニュベーターの納入時期が当初の想定よりも遅くなった。その影響で、当初予定していたモード転換条件の確認に時間がかかり、条件検討後、年度内に実施予定であったモード転換時のRNA seq解析の実施が間に合わなかった。 それ以外の点に関しては、新型コロナウイルス流行の影響で学会大会がオンライン開催となったり、各地でのサンプリングに赴きにくい状況であったものの、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度実施予定であったRNA seq解析を実施するとともに、当該年度に実施予定の実験も並行して行い、計画通りの目標を達成すべく取り組む。
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