研究課題/領域番号 |
21H02417
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗栖 源嗣 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (90294131)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 構造生物学 / 光合成 / 電子伝達 / 金属蛋白質 / レドックス代謝 / 生物物理学 / 電子伝達複合体 / 金属タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
葉緑体内のレドックス代謝反応の多くは,電子伝達タンパク質フェレドキシン(Fd)に依存して駆動される。しかし,Fdとレドックス代謝酵素の複合体形成は過渡的で,酵素反応が進行すると複合体は解離してしまう。そのため構造解析には困難と妥協が伴った。研究代表者は,自身のこれまでの研究の蓄積からFdの酸化還元状態は比較的小さな構造変化であっても,過渡的複合体形成を考える上では非常に重大であると考えるに至った。そこで,高度化してきた再構成金属タンパク質の活用をベースに,原理的に不可能と考えられてきた「酸化型」と「還元型」とで形成する活性型複合体の精密構造解析を行う。
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研究実績の概要 |
光合成電子伝達は直鎖型と循環型の2種類の電子伝達経路が存在することが知られている。循環型の場合に光化学系Iから伝わったFdの還元力がチラコイド膜中のプラストキノン(PQ)に戻ってくるが、未だにその分子機構の詳細はわかっていない。我々は、チラコイド膜中のPQと電子伝達蛋白質プラストシアニン間の酸化還元反応を触媒するシトクロムb6f複合体に着目した。ホウレン草からb6f複合体を精製すると、ほぼ1対1の割合でFNRが結合してくる。b6f複合体に結合したFNRがFdからの電子を受け取り、PQを還元する電子伝達経路が強く示唆される状況にあった。そこで、ホウレン草由来FNRを大腸菌発現系をもちいて大量に調製し、b6f複合体に対して等温滴定熱測定を実施した。その結果、FNRの結合はb6f複合体の可溶化にもちいる界面活性剤(UDM)の影響を強く受けており、FNR自体がUDMの影響で一部変性している可能性が示唆された。今後、FNRとシトクロムb6f複合体の構造解析を行うためには、UDMを用いない精製法を確立し、FNRと十分に強く結合する条件を検討する必要があることがわかった。電子伝達に伴う機能的構造変化や、効率的な電子伝達機構を明らかにする目的で、好熱性シアノバクテリアPSIと電子受容体であるFdおよび電子供与体であるシトクロムc6(Cyt c6)を結合した三重複合体の構造解析に挑戦した。各電子伝達蛋白質の酸化還元状態に留意した試料調整を行い、PSI:Fd:Cyt c6の三重複合体のCryo-EM構造を1.97A分解能で構造解析することに成功した。側鎖の構造変化や,水分子を介した相互作用までも可視化することができ、特にPSIとFdとでITC測定を併用することで、複合体形成がエントロピー駆動型であることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,担当の大学院生(留学生)の来日がCOVID-19の影響で遅くなり,研究の進捗が心配されたが,現在は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
緑藻クラミドモナス由来PSIとFdとの複合体構造解析については,現在,論文のリバイス中であり,論文発表は非常に現実的であると考えている。また,今後,[FeFe]-ヒドロゲナーゼの複合体構造解析においては,構造決定に成功した酸素耐性をもつ[FeFe]ヒドロゲナーゼ(論文投稿中)の不活化型を利用することも検討する。
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