研究課題/領域番号 |
21H02440
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
成田 哲博 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (30360613)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 電子顕微鏡 / その場観察 / 溶液動態 / 動態観察 / パルス電子光源 / 蛋白質 / 蛋白質動態 / 脂質動態 / パルス電子顕微鏡 / 分子動態 / フォトカソード電子銃 / 溶液中動態観察 / 微小管 / アクチン / 脂質 / 溶液構造 |
研究開始時の研究の概要 |
電子顕微鏡は原子を直接観察できる非常に強力な方法であるが、一方でタンパク質や脂質膜などの生体分子は元来動的なものである。この動態を電子顕微鏡分解能レベルで理解するのは、溶液中分子のブラウン運動により極めて困難であった。電子顕微鏡写真を1マイクロ 秒から1ミリ秒の強い電子線パルスで撮影するパルス電子顕微鏡を用いれば、動いている物体でもぶれずに撮影できる。私達はこのパルス電子顕微鏡の立ち上げに参画すると同時に、微小管の重合、脱重合、蛋白質複合体解離、リポソーム動態などの現象を透過型電子顕微鏡分解能でリアルタイム観察することを目指す。
|
研究成果の概要 |
パルス電子顕微鏡による非凍結溶液構造動態の高分解能観察を行うための溶液セルの改良と、それを用いた通常電子顕微鏡による観察を行った。いままで開発してきた溶液セルに金の60 nm厚のスペーサー、中央部に液だめを導入。これらにより、溶液観察の安定性が格段に向上した。また、観察窓に従来使われてきた窒化ケイ素の代わりに窒化炭素を用いたものも作製。窒化ケイ素で見られた非特異的な吸着を大幅に抑えることに成功した。これらの溶液セルを用いて、エマルジョン内の脂質液滴の融合や高速でブラウン運動する金コロイドを撮影することに成功した。安定した温度コントロールの方法も開発できた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究期間では、残念ながら新世代パルス電子顕微鏡の立ち上げは間に合わなかったが、溶液セルの開発、観察条件の検討としては十分な成果が得られた。新世代のパルス電子銃の開発は終わっており、私たちのグループも加わって透過型電子顕微鏡への搭載を加速している。本研究の成果と新世代パルス電子顕微を組み合わせることで、nmオーダーの分解能で溶液中の分子、リポソーム、エマルジョンなどの溶液構造をリアルタイムで捉えることができる。これは医学、薬学、農学、生物学、食品、化粧品など広い分野にまったく新しい知見をもたらすだろう。
|