研究課題/領域番号 |
21H02466
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 直幸 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50545704)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | プロテオミクス / シグナル伝達 / 質量分析 / キナーゼ / タンパク質キナーゼ / LC/MS/MS |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトには500種類以上のプロテインキナーゼが存在し、選択的リン酸化により複雑なシグナル伝達ネットワークが形成されると考えられるが、大部分のキナーゼの機能はほとんど明らかになっていない。本研究課題では、機能未知のタンパク質リン酸化部位について責任キナーゼを予測、同定するために、in vitroキナーゼ試験に基づいた大規模なキナーゼ結合モチーフの探索と、その結合親和性の評価を行う。また、同定されたキナーゼ結合モチーフとキナーゼ選択的にリン酸化される基質配列を組み合わせることで、超高選択的人工基質ペプチドを創出し、細胞内のキナーゼ全体の活性を区別して、かつ同時に計測する手法を開発する。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、変性条件下におけるin vitroキナーゼ基質の高深度同定を実施した。得られたキナーゼ-基質間情報に基づき、キナーゼのクラスタリングを行った。キナーゼドメインの相同性に基づく従来の分子系統樹上では離れているが、in vitro基質の類似性が高いキナーゼ群に着目し、リン酸化部位から離れた位置にみられる共通のアミノ酸配列を抽出した。今後、実際にモチーフを含むペプチドを合成し、相互作用解析を実施する予定である。また、in vitroキナーゼ反応を応用した、Motif-centricリン酸化プロテオーム解析によるキナーゼ阻害薬評価法について、Cancers誌に発表した。 未変性条件下におけるキナーゼ基質同定法の再検討を行った。変性条件下と比較して、リン酸化効率が悪くキナーゼ基質の同定数は明らかに少ないことから測定法の高感度化を図った。チロシンキナーゼの基質を高選択的に同定するために、酸化金属クロマトグラフィーと配位子交換クロマトグラフィーを併用したチロシンリン酸化ペプチド濃縮法の開発、最適化を行った。 また、高深度に取得したキナーゼの基質情報、および公共のキナーゼ基質情報(PhosphoSitePlus)を用いて、基質モデルの改善を行った。ヒトの全タンパク質のすべてのセリン、スレオニン、チロシンに対して、リン酸化されうる部位とその責任キナーゼを予測した。実際に標的既知のキナーゼ阻害薬を処理した細胞のリン酸化プロテオーム解析結果から、予測性能の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、in vitroキナーゼ基質情報をもとにキナーゼのクラスタリングを行った結果、分子系統樹的に離れたキナーゼ間に類似性を見出し、それらの基質間に共通の配列モチーフを抽出することに成功した。実際に相互作用解析に着手できず実験的に示すことはできなかったが、各キナーゼの基質モデルを用いてキナーゼ-基質間情報の予測を部位レベルで行うことができた。全体として計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
未変性条件下におけるin vitro基質情報を取得し、類似性の高いキナーゼ群に共通にみられるアミノ酸配列をキナーゼ結合モチーフとして抽出する。また、今年度着手できなかった研究として、調製した合成ペプチドに対し、表面プラズモン共鳴装置を用いてキナーゼとの相互作用解析を行い、結合親和性およびキナーゼ選択性について評価を実施する。キナーゼの基質モデルおよびキナーゼ結合モチーフを用いて、目的のキナーゼに選択的にリン酸化されうる超高選択的基質ペプチドの設計、およびその評価を行う。
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