研究課題/領域番号 |
21H02539
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
野澤 昌文 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (50623534)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 遺伝子量補償 / ショウジョウバエ / 性染色体 / 遺伝子発現 / 性染色体サイクル / 重イオンビーム / 重イオンビーム照射 / ガンマ線照射 / 種間交配 |
研究開始時の研究の概要 |
性染色体は様々な系統で誕生し、常染色体と入れ替わりつつ多様化してきた。常染色体から性染色体が生じると、通常Y染色体は遺伝子を失い退化するため、多くの生物は遺伝子量補償によってこれを補う。一方、新たな性染色体が誕生して古い性(X)染色体が常染色体に再転換するとき、この常染色体はオスでも2本に戻るため、遺伝子量補償は消失する必要がある。しかし、遺伝子量補償の発達と消失の過程は依然不明である。そこで本研究では、ショウジョウバエ遺伝学を用いてY染色体遺伝子の退化直後と再転換直後の状態を疑似的に作出し、遺伝子量補償の発達と消失、および性染色体多様化の進化過程を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、ネオ性染色体を持つミランダショウジョウバエを材料とし、遺伝子量補償の即時性と柔軟性を検証した。Y染色体遺伝子消失直後の状態にある個体を疑似的に作り出すため、オスに重イオンビームを照射しF1オスを得た。ネオY染色体上の1:1ガメトログには有意に欠失が入りにくかったことから、本種において1世代での即時遺伝子量補償は作用しない可能性が示唆された。また、ネオ性染色体を持たない近縁種との種間交配により、性染色体が常染色体に再転換した状態を作出した。雑種不和合の影響を受けていないと考えられる遺伝子を用いて解析を行ったところ、疑似常染色体に再転換した染色体では遺伝子量補償が有意に弱くなっていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
性染色体進化において多くの種に見られる遺伝子量補償がY染色体の退化に伴ってどのくらい迅速に作用するのか、そして性染色体が常染色体に戻る際、遺伝子量補償がどのくらい柔軟に消失するのかという、性染色体進化における重要な2つの事象を模倣する実験系を確立できたことは意義のあることであると考えている。性染色体がただ退化するだけの染色体ではなく、潜在的に常染色体にも再転換しうることを実験的に示す道筋を示せたことも重要であると考えている。
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