研究課題/領域番号 |
21H02558
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
河田 雅圭 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 総長特命教授 (90204734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 性選択 / 雄の装飾性質 / mate choice / グッピー / Poecilia reticulata / 色彩形質 / 雄の色彩装飾の進化 / 色彩装飾形質の進化 / csf1 / 色彩装飾形質 / 配偶者選好 |
研究開始時の研究の概要 |
雄の「色彩装飾形質」を雌が交配相手に選ぶという性質がなぜ進化するのかという性選択の問題は、未解決の重要課題である。これまで、私たちは、グッピーの野生集団を用いた研究 において雌に選択的に交配によって選ばれた候補遺伝子としてcsf1rを検出した。 ゼブラフィッシュの研究から、csf1rは、色彩装飾形質と適応度に関わる免疫能に同時に影響する「良い遺伝子」の候補であると考えられ る。本研究では、オレンジスポット面積に関わるcsf1rの変異を特定すると同時に、csf1rの 変異が細菌抵抗性などの免疫能に影響することを示すことで、csf1rの変異遺伝子が性選択説 における「良い遺伝子」である可能性を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、csf1r/csf1遺伝子が、雄の装飾形質であるオレンジスポットに影響すると同時に、細菌抵抗性などの免疫能に影響することを示すことで、csf1r/csf1の変異遺伝子が性選択説における「良い遺伝子」である可能性を検証した。Csf1シグナル伝達阻害剤を用いた実験から、Csf1シグナル伝達活性とオレンジスポットの面積と彩度の発現の関係が示された。また、Csf1シグナル伝達阻害剤とグラム陰性細菌の外膜構成成分であるリポ多糖(LPS)を用いた実験により、Csf1シグナルが免疫細胞の活性化や病原体認識を促進し、細菌などの病原体に対する防御を強化する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、雄の派手な装飾形質がなぜ進化するのか、について幾つかの理論が提唱されてきたが、まだ確定的な結論にいたっていない。理論の一つであるメスが「よい遺伝子」をもつ雄を選ぶという仮説についても、具体的な遺伝子を特定した研究はこれまでなかった。本研究では、csf1/csf1r遺伝子が、雄の装飾形質であるオレンジスポットに影響すると同時に、病原体などへの抵抗性にも影響することを示し、これらの遺伝子が「よい遺伝子」の候補であることを示した。これらの成果は、生存率を低下させるような生物の性質をなぜメスが選好するのか、という長年の問題への解決へ繋がるものと期待できる。
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