研究課題/領域番号 |
21H02573
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
木村 亮介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00453712)
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研究分担者 |
佐藤 丈寛 金沢大学, 医学系, 助教 (10558026)
山口 徹太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (40384193)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 顔面形態 / 多型 / ゲノムワイド関連解析 / 復顔 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
(1)表面形状データおよびコンピュータ断層撮影(CT)画像データを用いた形態解析とゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施することで、顔面形態に関連する遺伝子多型を網羅的に同定する。(2)顔面形態関連多型やその周辺のゲノム配列に注目して集団遺伝学解析を行うことによって、その遺伝子多型の起源や選択圧について明らかにする。(3)ゲノム情報から、縄文人や弥生人、あるいはネアンデルタール人やデニソワ人といった古代人の軟組織を含めた顔面形態を復元し、頭蓋骨試料にはない情報を補完する。(4)顔面形態に関与する遺伝子の類人猿を含めた分子進化学解析により、人類における顔面形態の進化過程について知見を得る。
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研究実績の概要 |
1)Lasso回帰による顔面骨形態の予測モデルの構築: 本研究では、以前行った形態解析およびGWASの結果を基に、ゲノムデータから顔面骨形態の予測モデル構築を試みた。ここではLasso回帰を用いて予測モデルを構築し、その予測性能を確かめた。琉球大学病院においてPET-CT検査を受けた日本人623名を対象とした。被験者のうち、90%を学習データ、10%をテストデータとし、さらに学習データにおいてK分割交差検証(K=10)を行うことで、2段階で予測精度を検証した。Lasso回帰は、目的変数としてPC1~PC5、説明変数として年齢、性別、身長、体重、集団、そして、それぞれのPCに対するGWASで上位500個の多型を用いて行い、それぞれのPCスコアの予測モデルを構築した。最終的にテストデータにおける決定係数は、PC1~PC5においてが0.58~0.70の値となり、一定の予測精度があることが示された。 2)骨の厚さに関する要因-頭蓋骨と上腕骨の比較-: 本研究では、頭蓋骨と四肢骨において骨の厚さに関わる要因の共通点や相違点を解明することを目的とした。診断を目的として琉球大学病院でPET-CT撮影をした504名を同意のもとで対象とした。画像から、側頭部の頭蓋骨全厚、前頭部の頭蓋骨全厚および皮質骨厚、上腕骨骨幹部の全幅および皮質骨厚を計測し、前頭部の皮質骨厚/全厚を頭蓋骨皮質示数、上腕骨の皮質骨厚/全幅を上腕骨皮質示数として求めた。本研究の結果は、女性では、男性より頭蓋骨全厚が大きく、加齢に伴う頭蓋骨全厚の増加が大きいことを示した。前頭部と上腕骨の皮質示数の相関の強さは、男性よりも女性で、高齢群(≧50歳)よりも若年群(<50歳)で高かった。このことは、頭蓋骨と上腕骨との間で、高齢時の皮質骨厚の減少よりもむしろ、若年時の骨モデリングに共通点があることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り研究が進捗し、成果が蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、(1)三次元顔面骨形態のゲノムワイド関連解析、(2)ゲノムデータからの顔面形態の予測、(3)頭蓋骨縫合形質のゲノムワイド関連解析、(4)頭蓋骨と上腕骨の皮質骨厚に関する解析を進め、成果が得られている。今後、硬組織と軟組織を分けた形態成分を抽出することを試みて、新たな知見を獲得したい。
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