研究課題/領域番号 |
21H02675
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐邊 壽孝 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員教授 (40187282)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | ARF6 / AMAP1 / ケモカイン / 癌免疫回避 / 膵癌 / AMAP1 / 癌悪性度進展 / 癌微小環境 / 腫瘍浸潤細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
EMTを起こした細胞が、インターフェロンγ (IFNγ) 刺激に対し、本経路不活性化時には主に炎症促進性ケモカインを発現し、本経路を活性化させると主に抗炎症性ケモカインを発現することを見出した。本研究は『ある種の細胞は、ARF6-AMAP1経路活性化に応答して、IFNγなど同一刺激に対し発現するケモカインの種類を炎症促進性から抗炎症性へと変換することができる』と仮説立て、分子的詳細と生物学的意義を明らかにする。本研究の成果は、ケモカイン発現制御に関する既成概念を書き換え、分子細胞生物学における未踏査な根本問題に突破口を開くと期待される。
|
研究実績の概要 |
これまでに、上皮間充織形質転換(EMT)等に連動して細胞運動性・接着性を制御する『ARF6-AMAP1経路』を明らかにしている。また、膵癌細胞を用いた解析から、本経路が膵癌の免疫回避に関与することを見出し、国際特許出願を行った。引き続き、本経路を高発現する癌細胞では、ARF6-AMAP1経路の活性化・不活性化に応答して異なった種類のケモカイン類を発現することを見出した。すなわち、本経路の不活性時には主に炎症促進性サイトカイン類を発現し、活性化させると主に抗炎症性サイトカイン類を発現した。炎症促進性サイトカインは免疫監視を促進し、抗炎症性サイトカインは免疫抑制や免疫回避を促進する。本研究では、『ある種の細胞は、ARF6-AMAP1経路活性化に応答して、IFNγなど同一刺激に対し発現するケモカインの種類を炎症促進性から抗炎症性へと変換することができる』と仮説立て、分子的詳細と生物学的意義を明らかにすることを目的とし、下記の解析を行った。 (1)ARF6-AMAP1経路活性時に抗炎症性サイトカインを発現させる分子機構の解明:膵癌細胞において、刺激応答性に抗炎症性ケモカインを発現させる主な転写因子を同定し、ARF6-AMAP1経路の活性化・不活性化と相まって制御されることを見出した。さらに、その制御は細胞力学と関連することを示唆する知見を得た。 (2)ARF6-AMAP1経路不活性時に炎症促進性サイトカインを発現させる分子機構の解明:AMAP1の発現を抑制した膵癌細胞は炎症促進性サイトカインを発現する。特に発現の高かったサイトカインに着目し、発現制御に関わる候補因子を見出している。ARF6-AMAP1経路不活性時に炎症促進性サイトカインが発現誘導される分子機序について解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗炎症性サイトカインの発現制御に関し、ARF6-AMAP1経路の活性化・不活性化と相まって制御される候補因子を見出し、また、その制御が細胞力学と関連することを示唆する知見を得た。一方、炎症促進性サイトカインに関しても制御に関わる候補因子を見出していることから、概ね順調に進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
・ 抗炎症性サイトカインの発現制御に関わる因子に関し、ARF6-AMAP1経路の活性化・不活性化にどのように応答するのか、その分子的詳細を明らかにすると共に、細胞力学との関連を解析する。 ・ 炎症促進性サイトカインに関わる因子に関し、ARF6-AMAP1経路不活性時に炎症促進性サイトカインが発現誘導される際の分子的詳細を解析する。 ・ ARF6-AMAP1経路の活性化・不活性化にどのように応答して、サイトカイン転換を作動しているのか、その分子的詳細を検討する。
|