研究課題/領域番号 |
21H02698
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
住本 英樹 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 特任教授 (30179303)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 細胞極性 / 上皮細胞 / 肝細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
私達の体や組織の表面は上皮細胞で覆われているが、上皮細胞は均一な細胞ではなく極性を持ち、その細胞膜は体の外側を向いた部分と体の内側の部分で性質を全く異にする。例えば腸での正常な消化吸収には腸上皮細胞が極性をもつことが必要である。また、肝臓の主な構成要素である肝細胞も類似の細胞極性を持っており、肝細胞の機能にも極性形成が必須である。本研究では、上皮細胞および肝細胞の極性形成の分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
(1)上皮細胞の再極性化の分子機構の解明について ①「細胞内 apical 膜凝集体」の構造の解明:腎尿細管上皮細胞由来MDCK 細胞、大腸癌由来Caco-2細胞および乳腺癌由来MCF-7細胞を用いた解析により、上皮細胞の極性が失われた後に生成される「細胞内 apical 膜凝集体」は、apical膜由来の細胞内顆粒と低分子量Gタンパク質Rab11aをもつ顆粒の2種類の顆粒の集合体であること、apical膜由来顆粒には微絨毛様構造が存在すること等を明らかにした。 ②「細胞内 apical 膜凝集体」の動態を制御する分子の同定とその作用機序の解明:Ca switch法およびATP switch法を用いた超解像顕微鏡 live imagingの解析により、細胞の再極性化後、「細胞内apical膜凝集体」からapical膜由来顆粒がRab11a陽性になって新たに出芽し、この新たな顆粒が『apical膜が再構成される場所』へとexocytosisされることを示した。さらに、このexocytosisされる過程に低分子量Gタンパク質の1つであるCdc42が中心的な役割を担うことを明らかにした。また、Cdc42の下流では、Cdc42結合タンパク質であるPar6やCIP4、N-WASP等が重要な働きを担うことを明らかにした。 ③「細胞内basolateral膜由来凝集体」の動態:上皮細胞の極性が失われた時には「細胞内apical膜凝集体」に加えて「細胞内basolateral膜由来凝集体」が形成されることを見出し、この「細胞内basolatera膜由来凝集体」には3量体Gタンパク質共役型受容体GPR125も含まれ、そのbasolateral膜への輸送にはアダプタータンパク質であるDlg1やDvl1などが必要であることを明らかにした。 (2)肝細胞の極性形成の分子機構 肝細胞の極性形成の分子機構を解析する為に、マウス初代培養肝細胞のcollagen sandwich培養系をさらに向上させるための条件を行い、優れた実験系の構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「上皮細胞の再極性化の分子機構」に関しては、①「細胞内 apical 膜凝集体」はapical膜由来の細胞内顆粒と低分子量Gタンパク質Rab11aをもつ顆粒の2種類の顆粒の集合体であること、さらにapical膜由来顆粒には微絨毛様構造が存在することを明らかにした。また、②「細胞内 apical 膜凝集体」の動態を制御について、細胞の再極性化後、「細胞内 apical 膜凝集体」からapical膜由来顆粒がRab11a陽性になって新たに出芽し、この新たな顆粒が『apical膜が再構成される場所』へとexocytosisされること、このexocytosisされる過程に低分子量Gタンパク質の1つであるCdc42が中心的な役割を担うことを明らかにし、さらにCdc42の下流で働くタンパク質を同定することに成功している。さらに、③「細胞内 basolateral膜由来凝集体」を見出し、その成分の1つである3量体Gタンパク質共役型受容体GPR125の basolateral膜への輸送機構を解明し、英文論文として発表した。このように、本研究は順調に進展している、と判断している。 また、「肝細胞の極性形成の分子機構」に関しても、「肝細胞の極性形成から毛細胆管ネットワーク形成に至る分子機構」を明らかにするために、マウス肝臓から調製した初代培養肝細胞の「collagen sandwich 培養系」をさらに向上させるための条件を行い、優れた実験系の構築に成功しており、順調に進展している、と判断できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、本研究課題は順調に進展していると考えられ、計画通りに研究を進める予定である。
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