研究課題/領域番号 |
21H02705
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金井 弥栄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00260315)
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研究分担者 |
榊原 康文 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10287427)
新井 恵吏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40446547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 病理診断 / 人工知能 / オミックス解析 / 病理画像 / CpGアイランドメチル化形質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人工知能 (AI)の支援を受けて病理形態像とゲノム等オミックス情報を融合させ、がんの治療奏効性・有害事象・予後を予測する深層学習モデルを構築することを目的とする。予測時のAIの着眼点を可視化し、形態学的診断基準に翻訳して、病理医が顕微鏡で見るだけでモデルと同等の治療奏効性・有害事象・予後予測を可能にすることを目指す。悪性度が高い腎淡明細胞がんのCpGアイランドメチル化形質 (CIMP)の予測モデルを構築する過程で、病理画像とオミックスデータを統合する至適研究手法を確立し、「病理医とAIの創造的協働による、オミックス情報を統合した新しい病理診断の創出 (病理診断学の革新)」を図る。
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研究実績の概要 |
病理診断は従来から、がん等の臨床症例の最終診断を担ってきたが、がんゲノム医療が社会実装された今日にあっては、従来通り形態像のみに基づく組織型分類にとどまるべきではない。病理診断学は、ゲノム等オミックス情報を取り込んで、ブレイクスルーを果たすべきである。折しも人工知能 (AI)研究が隆盛を迎え、病理画像はAIによるモデル構築に適した素材である。そこで本研究は、AIの適切な支援を受けることにより、病理形態像とオミックス情報を融合させ、がんの治療奏効性・有害事象・予後を予測する深層学習モデルを構築することを目的とする。予測時のAIの着眼点を可視化し、形態学的診断基準に翻訳することにより、病理医が顕微鏡で見るだけでモデルと同等の治療奏効性・有害事象・予後予測を可能にすることを目指す。本研究は「病理医とAIの創造的協働による、オミックス情報を統合した新しい病理診断の創出」を図るものである。 2021年度までに腎細胞がん学習コホート104症例の手術検体の病理プレパラートバーチャルスライドデータを用い、また剖検症例の肝・肺・心・胃等正常主要臓器の光学顕微鏡画像による転移学習をもとに、オーロラキナーゼ阻害剤の適応となる可能性のある予後不良なCpGアイランドメチル化形質 (CIMP) 陽性腎細胞がんの、畳み込みニューラールネットワーク (CNN)モデルを構築した。2022年度には、転移学習の手法に改良を加えた。さらに、gradient-weighted class activation mappingを用いて、CNNモデルがCIMP陽性・陰性の判別時に病理画像のどの領域に着目しているか可視化して、「病理組織学的CIMP診断基準」を構築した。さらに、モデルの予後予測力等をさらに向上させるため、エピゲノム情報 (CIMPの有無)と統合すべきグライコプロテオーム情報を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CIMP陽性腎細胞がんのCNNモデルを構築し、gradient-weighted class activation mappingを用いて着目領域の可視化に成功し、wetにおいてはモデルの予後予測力強化のための新たなオミックス情報を取得できたので、順調な進捗と考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、複数の病理専門医が2022年度までに構築した診断基準を用いて病理組織学的にCIMP診断を再現できるか検討し、深層学習によって構築した診断基準の信頼度を検証する。また、エピゲノム情報に基づくモデル開発のノウハウを活かして、学習コホートのエピゲノム以外のオミックスデータ、特に新規性の高いグライコプロテオームデータ等を病理画像から予測するCNNモデルの構築を試みる。各モデルの受信者動作特性曲線解析による曲線下面積を比較して重み付けをし、多様なオミックス情報を統合した個別化医療に向けての治療指針となる病理診断基準の創出を目指す。
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