研究課題/領域番号 |
21H02931
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
石井 源一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (00270869)
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研究分担者 |
中井 登紀子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (00619538)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 薬剤耐性がん微小環境 / がん関連線維芽細胞 / 薬剤耐性 / がん微小環境 / 薬物療法 / 繊維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
“がんの再増殖”を規定するのは、“薬物投与後”の微小環境である。以上を踏まえて本研究では、殺細胞性抗がん剤投与後の非がん細胞が形成する微小環境を解析し、革新的な肺がん薬物療法の開発を目的とする。研究期間内で以下を実施する。1) 薬物投与後の再増殖に関与する非がん細胞(線維芽細胞)の特徴的な生物像を、空間的トランスクリプトーム解析により同定、2) 再増殖に関与する代謝産物をメタボローム解析から同定、3) 上記を基に、殺細胞性抗がん剤投与後の肺がん再増殖に関わる微小環境の分子機構を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は“薬物療法後の微小環境”に着目し、がん細胞の再増殖・再進展を規定する分子機構の解明を目的としている。昨年度は、術前加療された非小細胞肺癌検体を用いて、薬物療法後に生存している腫瘍細胞率と薬物療法後の腫瘍微小環境中に存在する線維芽細胞(CAFs)、マクロファージ(TAMs)およびリンパ球(TILs)の相関を検討した。本年度は、昨年度開発したがん細胞株とCAFsを含んだハイブリッドオルガノイドを (Nomura K et al. Cancer Sci. 2021)用いて、シスプラチン耐性ハイブリッドオルガノイド作製を試みた。しかしながら、シスプラチンfreeの状態にても、がん細胞のviabilityを保ったままでの長期培養が困難であったため、がん細胞、CAFs別々にシスプラチン耐性株の作製を試みた。低濃度暴露から始め、最終的には5uMのシスプラチン下にて生存するがん細胞株(A549肺腺癌細胞株)およびCAFs細胞株(肺腺癌組織より培養)の樹立に成功した。IC50の値を以下に示す。 A549細胞株(コントロール):8.6uM A549細胞株(5uM処理):22.7uM CAFs細胞株(コントロール):6.3uM CAFs細胞株(5uM処理):37.5uM 上記に示すように、IC50は5uM処理群にて(がん細胞株、CAFs細胞株)で著明に上昇しており、耐性株の作製に成功したと判断した。尚、シスプラチン耐性CAFsの樹立に成功したことは、世界に類を見ない研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん細胞株とCAFsを含んだハイブリッドオルガノイドを (Nomura K et al. Cancer Sci. 2021)用いて、シスプラチン耐性ハイブリッドオルガノイド作製を試みたが、シスプラチンfreeの状態にても、がん細胞のviabilityを保ったままでの長期培養が困難であった。そのため、耐性細胞株の作製方法を根本的に変更する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
作製したシスプラチン耐性CAFsおよびがん細胞株における転写産物の変化を SASP(senescence-associated secretory phenotype)あるいは薬剤耐性関連分子に着目してRNAseq 法により解析する。また、single cell RNAseqを行い、非耐性株と比較して、どのようなクラスター成分が増加しているかを検討する。これらシスプラチン耐性がん細胞、シスプラチン耐性CAFsを用いてハイブリッドオルガノイドを作製し、がん細胞の増殖・浸潤に与える影響を検討し、その分子機構を解明する。さらには、ハイブリッドオルガノイドの薄切切片を用いたVisium(10x Genomics社)のプラットフォームによる空間的トランスクリプトーム解析(数~数十細胞程度の解像度)を行う。同方法を用いることにより、組織切片上での遺伝子発現を可視化することが可能となる。
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