研究課題/領域番号 |
21H02939
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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研究分担者 |
吉崎 歩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40530415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | B細胞 / 強皮症 / サイトカイン / IL-6 / IL-17 / 自己免疫 / 新規治療法開発 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性強皮症の病態は複雑であり、肺、皮膚などの線維化、皮膚潰瘍、肺高血圧症といった多彩な血管障害、そして自己抗体産生などの免疫異常を呈する。さらにこれまで有効性が確認された治療は僅かであり、これらの多彩な病態を一元的に説明する病態仮説を提示することは困難であった。申請者は医師主導治験にてSScで、リツキシマブ(抗CD20抗体)によるB細胞除去療法の有効性を世界で初めて証明した。本研究では、B細胞を中心として、IL-17、IL-6といった治療ターゲットに基づいた病態仮説を提示し検証することが目的である。
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研究実績の概要 |
全身性強皮症(SSc)の病態は複雑であり、肺、皮膚などの線維化、皮膚潰瘍、肺高血圧症といった多彩な血管障害、そして自己抗体産生などの免疫異常を呈する。さらにこれまで有効性が確認された治療は2剤(シクロフォスファミド、ニンテダニブ)のみであり、これらの多彩な病態を一元的に説明する病態仮説を提示することは困難であった。申請者は医師主導治験にてSScで、リツキシマブ(抗CD20抗体)によるB細胞除去療法の有効性を世界で初めて証明した。また申請者によって開始されたブロダルマブ(抗IL-17RA抗体)の探索的試験では、その有効性が示唆された。加えてトシリズマブ(抗IL-6R抗体)の国際共同治験では、その肺線維症への有効性が示唆されている。本研究では、これらのB細胞、IL-17、IL-6といった治療ターゲットに基づいた病態仮説を提示し検証することが目的である。この研究によってSScの本病態仮説について検証するとともに、本仮説に関与する他の分子や、本仮説におけるB細胞、IL-6、IL-17それぞれの相対的な関与などについても明らかにされることが期待される。これまでSScの病態を説明しうる病態仮説はほとんど提示されてきていない。その理由として、SScの病態が複雑なために一元化された病態仮説を作成することが困難であったこと、そして病態仮説を作成するために必須である、SScに有効性が証明された薬剤が極めて少ないことが挙げられる。本研究では、申請者の施設で世界に先駈けて施行したリツキシマブの医師主導治験やブロダルマブの探索的第I相試験の結果に基づいて、病態仮説を提示している点に独自性がある。またSScでは根元に存在する3つの主要病態を同時に説明しうる仮説の作成も困難であったが、この病態仮説では3つの主要病態を一元的に説明することができることも特徴である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究において実験は以下の3つのパートに分けて行う:1) ヒトSScでのB細胞、T細胞のフェノタイプ解析(ブロダルマブ、リツキシマブ投与前後)、2) SSc由来topo I反応性B細胞、SSc由来線維芽細胞およびヒト真皮微小血管内皮細胞の、IL-17に対する反応性などを評価するin vitro解析、3) B細胞、線維芽細胞でIL-17RAを欠損させたコンディショナルノックアウトマウスのin vivo解析。以下に本年度の実施状況を述べる。 1) ヒトSScでのB細胞、T細胞フェノタイプ解析(ブロダルマブ、リツキシマブ投与前後):昨年度に引き続き、今年度もIL-17がT細胞やB細胞のサブセットに与える影響を検討するために、ブロダルマブ投与前後で末梢血T細胞およびB細胞のフェノタイプ解析を行った。さらにIL-17によって生存が維持されている可能性があるtopo I反応性B細胞から産生されるサイトカインの検討を行った。 2) SSc患者由来topo I反応性B細胞、線維芽細胞およびヒト真皮微小血管内皮細胞のin vitro解析:今年度は、SSc由来topo I反応性B細胞を用いて、拡張ナノELISAによる単一細胞レベルでのサイトカイン測定を昨年度よりもさらに詳細に行った。拡張ナノELISAによって単一細胞レベルで複数のサイトカインを測定した。加えて、SSc生検皮膚より新たに線維芽細胞を分離し、IL-17の刺激を加えて、その増殖能およびコラーゲン産生能を評価した。 来年度は、臨床データとの相関を踏まえて、さらなる解析を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の研究について、計画を以下に記載した。 1)Topo I反応性B細胞のIL-17、IL-21、IL-23産生能の解析を実施する。光ピンセットにて単離したtopo I反応性B細胞がIL-17A, Fを産生するかどうかを、拡張ナノELISAを用いて単一細胞レベルで検討する。さらに、TregをTh17へと変化させるサイトカインであるIL-21、IL-23の産生の有無も検討する。 2)Topo I反応性B細胞の機能解析を実施する。Topo I反応性B細胞におけるIL-17RAの発現量、IL-17A, F, C, Eを作用させた場合の活性化、増殖、アポトーシス、免疫グロブリン産生、抗topo I抗体産生を解析する。topo I反応性B細胞で増強したCD19発現量がIL-17刺激によってさらに変化するかどうかも検討する。さらにIL-17刺激前後でのtopo I反応性B細胞をマイクロアレイ解析によって、IL-17によって変化する分子群を明らかにし新たな治療ターゲットの候補の同定を目指す。 3)SSc由来線維芽細胞の機能に対するIL-17の作用を検討する。IL-17が、線維芽細胞からのコラーゲン産生を増加させるかどうかについては見解の一致を見ていない。本研究ではSSc生検皮膚より新たに線維芽細胞を分離し、IL-17の刺激を加えて、その増殖能およびコラーゲン産生能を評価する。 4)ヒト真皮微小血管内皮細胞に対するIL-6、IL-17の作用を検討する。IL-6、IL-17がSScに類似する血管障害を誘導するどうかを明らかにするため、ヒト真皮微小血管内皮細胞にIL-6、IL-17を作用させ、血管内皮細胞の安定性に寄与するPECAM-1、PDGF-Bなど分子やICAM-1などの細胞接着分子の発現やアポトーシスの誘導などについて解析する。
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