研究課題
基盤研究(B)
関節リウマチは、成人人口の0.5-1%が罹患し、主に30-50歳代の働き盛りの女性に多く見られる。関節リウマチには、特徴的な自己抗体が見つかっており、この自己抗体が関節リウマチの原因と考えられている。しかしながら、自己抗体と関節リウマチ発症の因果関係は未だ不明である。本研究は、この自己抗体と関節リウマチ発症の因果関係を明らかにすることを目的とする。この成果により、明らかにした機序に基づいた新しい治療法、予防法の開発に繋がることが期待される。
関節リウマチ(RA)患者で特異的に誘導される自己抗体(anti-citrullinated protein antibody : ACPA)は、RAの病態に関与することが示唆されている。また、90%以上のACPA IgGの可変領域にはN-結合型糖鎖が付加しているが、N-結合型糖鎖がRAの病態に直接関与するかは明らかにされていない。我々が独自に樹立したRA患者由来モノクローナルACPAであるCCP-Ab1をモデルに、ACPA IgG可変領域のN-結合型糖鎖が引き起こす病態メカニズムを明らかにすることを目的とし、2023年度は、CCP-Ab1の可変領域に付加するN-結合型糖鎖と破骨細胞の分化の関係を詳細に解析した。CCP-Ab1の可変領域には計3箇所のN-結合型糖鎖が付加するが、これを1箇所、及び2箇所に付加するように改変したCCP-Ab1を作製した。そして2022年度と同様に、ヒトRAと免疫病理学的に酷似した自己免疫性関節炎を自然発症するSKGマウスより分離したCD14陽性骨髄単核細胞を、M-CSF、RANKL、及び抗体の存在下で8日間培養し、その後、破骨細胞の誘導をTRAP染色及び骨吸収活性を指標に評価した。その結果、付加されたN-結合型糖鎖の数とTRAP陽性の大きさ細胞の誘導、及び誘導された細胞における骨吸収能には正の相関が認められた。また、N-結合型糖鎖の先端はシアル酸であるが、ノイラミニダーゼにより先端のシアル酸を除去したCCP-Ab1では、TRAP陽性の大きさ細胞の誘導、及び誘導された細胞における骨吸収能の増強は認められなかった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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