研究課題
基盤研究(B)
世界のエイズ死因第2位のクリプトコックス髄膜炎は、潜伏感染後に再活性化することで発症するとの認識に変わりつつある。しかし、その詳細については未だ不明であり、適切な動物モデルを用いた研究が求められている。我々は、本真菌の主要なT細胞抗原を特異的に認識する受容体を高発現するトランスジェニックマウスを樹立し、本マウスを用いた潜伏感染・再活性化発症モデルの作製に成功している。本研究では、このモデルを用いることで、クリプトコックスの潜伏感染及び再活性化発症について解析し、その免疫機序を明らかにする。
近年、クリプトコックス症は潜在性感染後に免疫不全により内因性再燃すると考えられている。これまでの研究で、クリプトコックスに特異的なT細胞抗原受容体を高発現するトランスジェニックマウスを用いて潜在性感染(LCNI)モデルの作成に成功した。本研究では、このLCNIモデルに各種免疫抑制剤を投与することで内因性再燃モデルの作製を試みた。新規免疫抑制剤fingolimodをこのモデルに投与したところ、肺内真菌数の増加とともにTh1免疫応答の低下が観察された。このモデルを用いることで、LCNIから内因性再燃に至る免疫機序を明らかにするために肺内のエフェクターT細胞とメモリーT細胞を中心に解析を行った。
近年、クリプトコックス症は潜在性感染後に免疫不全により内因性再燃すると考えられている。本研究では、我々が樹立した本真菌に特異的なT細胞受容体を高発現するトランスジェニックマウスを用いることで作製した潜在性感染モデルに免疫抑制剤を投与することで内因性再燃モデルの作製に成功した。今後、より詳細な免疫機序を明らかにすることで、臨床的に重要なクリプトコックス髄膜炎の発症病態の解明に迫ることができるものと期待される。
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