研究課題/領域番号 |
21H03033
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (20381171)
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研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20082282)
垣花 泰之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20264426)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 敗血症 / 腸内細菌 / メタボローム / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は本申請に先立つ代謝産物の網羅的な解析において、敗血症によって増加する代謝産物以外に、減少する代謝産物が数多く存在し、そのなかでも特に、腸内細菌によるナイアシン類の産生が顕著に減少することを見出した。さらに、腸内細菌を制御しうる希少糖を用いてナイアシン類産生を改善させると、敗血症モデルマウスの生存率を有意に改善できることを見出した。本研究では、敗血症-腸内細菌叢の攪乱-ナイアシン産生障害を基軸とした敗血症の新規病態生理を実証するとともに、それをもとにした新規治療戦略の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、敗血症(生命を脅かすような重症感染症)の病態生理を解明し、それをもとにした新規治療戦略の構築を目指した。敗血症モデルマウスの血清中で増加/減少している代謝産物を網羅的に解析したところ、腸内細菌叢によるトリプトファン代謝産物が有意に減少している可能性が示唆された。また、トリプトファンからのニコチンアミド生合成に必要な酵素の遺伝子群が、敗血症モデルマウスの腸内細菌叢において低下していることも明らかになった。ニコチンアミド生合成に関与する腸内細菌叢を増やす効果のあるプレバイオティクスを敗血症モデルマウスに摂取させると、肝臓においてニコチンアミドの増加を認め、生存率の改善を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
敗血症は、感染に対する制御不能な生体反応によって引き起こされる生命を脅かすような臓器障害と定義されている。本邦では年間30万人以上が敗血症となり、そのうちおよそ1/5が死亡していると言われている。敗血症の治療は、微生物感染に対する抗菌薬等の投与、臓器障害に対する臓器支持療法が中心で、制御不能な生体反応に対する理解と治療介入手段は現状で乏しい。本研究の成果は、そのような敗血症時の生体反応に関する理解を深め、新規治療オプションを提案することによって、敗血症の生存率を向上させるための礎となる可能性を秘めている。
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