研究課題/領域番号 |
21H03104
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚崎 雅之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (20829527)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
|
キーワード | 骨代謝 / 骨免疫 / 破骨細胞 / 骨膜 / 骨芽細胞 / 骨格幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
骨は運動器であるだけでなく、ミネラル代謝調節や造血といった多様な機能を併せ持つ組織である。骨組織の恒常性は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスによって厳密に維持されている。 骨形成と骨吸収のバランス破綻は、歯周病や関節リウマチ、骨粗鬆症、がん骨転移など多くの病態に深く関与する。しかしながら、骨組織の発生とその恒常性維持機構に関しては未だ不明な点が多く残されている。本課題では、①幹細胞クロストークによる骨形成制御機構の解明 ②破骨細胞の多段階的運命決定プロセスの全容解明 の2つのプロジェクトを推進することで、骨の発生・維持・破壊を司る新規メカニズムの解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
本年度において、申請者は骨膜幹細胞を特異的に欠損するユニークなマウスモデルを樹立し、当該マウスでは膜性骨化のみならず内軟骨性骨化も著しく障害されることを見出した。そこで骨膜幹細胞が可溶型因子を産生することで内軟骨性骨化を制御するという仮説を立て、骨膜幹細胞に高発現する可溶型因子を探索し、Ihhを同定した。Ihhのコンディショナルノックアウトマウスの表現型解析から、骨膜幹細胞の産生するIhhは成長版軟骨に存在する骨格幹細胞に作用しており、生後の骨形成において解剖学的局在の異なる幹細胞同士のクロストークが重要であることを見出した(Tsukasaki et al., Nature Communications 2022)。 また申請者は近年、破骨細胞分化誘導系の時系列に沿ってsingle cell RNA-seq (scRNA-seq) を行い、機械学習アルゴリズムを用いた擬似時間(pseudotime)解析を行うことで、破骨細胞分化は多段階の分化ステップに分類でき、各ステージで分化経過が遺伝子レベルで精密に制御を受 けていることを見出した(Tsukasaki et al., Nature Metabolism 2020)。シングルセル解析のデータから、破骨細胞分化ステージそれぞれに重要と考えられる新規遺伝子候補のリストを作成し、特に分化の最終段階で発現が上昇する機能未知・未命名の新規遺伝子を同定した。当該因子のコンディショナル欠損マウスでは破骨細胞分化が著しく障害されており、破骨細胞の最終分化に必須の新たな遺伝子を同定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨膜幹細胞による骨恒常性維持機構を発見し、論文として報告した(Tsukasaki et al., Nature Commun 2022)。また、破骨細胞の新規制御因子として機能未知・未命名の新規遺伝子を同定し、当該因子のコンディショナル欠損マウスでは破骨細胞分化が著しく障害されることを見出している。
|
今後の研究の推進方策 |
申請者は、骨膜幹細胞が生理的骨代謝の維持に重要な役割を担うことを同定した。そこで今後は、様々な病的状態における骨膜の新機能の探索を進める。また、申請者が破骨細胞のシーケンスデータから新規に見出した機能未知・未命名遺伝子の機能解明を行う。以上より、骨代謝細胞の機能的多様性を生体レベルで解明し、骨組織の発生・維持・破壊を担う細胞分子メカニズムをこれまでにない解像度で捉えることを目指す。
|