研究課題/領域番号 |
21H03203
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野村 周平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (10799282)
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研究分担者 |
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター疫学統計部部長補佐 (20611809)
橋爪 真弘 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30448500)
大田 えりか 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40625216)
渋谷 健司 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (50322459)
坂元 晴香 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (50738549)
鈴木 基 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, センター長 (60444874)
齋藤 英子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 上級研究員 (60738079)
米岡 大輔 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 室長 (60790508)
井上 真奈美 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 部長 (70250248)
宮田 裕章 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (70409704)
西浦 博 京都大学, 医学研究科, 教授 (70432987)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 疾病負荷 / 新柄コロナウイルス / 超過死亡 / 過小死亡 / 死因別 / グローバルヘルス政策 / 新型コロナ / 新型コロナウイルス / 過少死亡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、with/postコロナ時代の保健医療政策の課題に対する実証的分析に疾病負荷を活用する我が国で初めての試みである。具体的には、新型コロナウイルス感染症の疾病負荷および関連するリスク要因の寄与割合の推定(将来予測含む)、新型コロナ含む傷病別の疾病負荷の将来シナリオ分析、新型コロナウイルス感染拡大による保健医療ニーズ・保健システムへの影響(健康格差・医療費)の推定を行う。
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研究実績の概要 |
死亡と障害の両方の負荷を統合した包括的かつ比較可能な健康指標である「疾病負荷(Burden of Disease)」の分析は、保健政策立案や研究開発の優先順位の決定に重要な役割を果たす。しかし、日本では政策への活用がまだ限定的であるため、本研究はこれまでの疾病負荷に関する研究成果をさらに発展させ、新型コロナが日本の保健医療ニーズや保健システムに与える影響を検証することを目的としている。
当該年度では、14本の英語論文を査読付き国際誌に出版した。これらの研究は、日本における新型コロナウイルス感染症の疾病負荷と、パンデミックによる健康や社会に与える影響を調査したものである。新型コロナに関連する様々な側面を分析し、感染リスクや重症化のリスクに関する認識、死亡率、交通事故、予防行動、性感染症の報告、脳血管疾患に関連する死亡の変化など、様々な観点から疾病負荷を分析した。これらの研究は、新型コロナパンデミックの日本における疾病負荷を理解するための貴重な情報を提供し、今後のパンデミック対策や健康政策に役立てられることが期待される。
また、これまでの研究成果が評価され、研究代表者は日本が主催する2023年のG7広島サミットの国際保健アジェンダを検討する「G7グローバルヘルス・タスクフォース」の構成員に選ばれた。これにより、研究成果を政策提言に直接取り入れられる機会を得た。今後も様々な政策対話が行われる中で、より多くの政策立案者に研究成果を伝えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度、査読付き国際誌に14本の英語論文を出版した。これらの研究は、新型コロナウイルス感染症に関する様々な側面について明らかにすることができた。例えば、日本国民のリスク認知に関する研究、国内外の居住者の全死因死亡率の比較、新型コロナウイルス感染症流行期における結婚・離婚・出生数の変化、小児感染症の発生率の変化、健康へのアクセスの変化、感染症や脳血管疾患の発生率の変化、交通事故の発生率の変化などが含まれている。これらの研究結果は、新型コロナウイルス感染症流行期における日本の社会や健康に対する影響を深く理解する上で役立つことが期待される。
また、研究論文は厚生労働省健康局健康課が進める国民健康づくり運動(健康日本21)の最終評価報告書で引用されるなど、日本における生活習慣病やその原因となる生活習慣リスクの改善のための議論に貢献した。さらに、内閣官房健康・医療戦略室が進めるグローバルヘルス戦略策定の深化(2022年5月に発表)にも寄与できた。加えて、国際栄養学会において日本の不健康な食事に関連する疾病負荷について講演し、日本の栄養対策にも貢献した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎える本研究は、引き続き様々な政府統計やオープンデータ等に対し公衆衛生学、疫学、統計、数学技術を駆使し、各研究テーマ間で連携しながら、日本におけるコロナ禍の保健医療政策の課題に対する実証的分析を行なっていく。具体的には、最新の世界の疾病負荷研究の枠組み(Global Burden of Disease 2021)を利用し、新型コロナウイルス感染症の疾病負荷やリスク要因を推定を行う。また、新型コロナに関連する最新の疾患別超過・過少疾病負荷を推定し、他の傷病への間接的な影響とその地域差の定量化を継続する。
また、これまで研究成果が評価され、研究代表者は日本が議長国として主催する2023年G7広島サミットの国際保健アジェンダを検討する「G7グローバルヘルス・タスクフォース」構成員に就任し、本研究成果を政策提言に直接インプットする機会を得た。本年開催される様々な積極的な政策対話を通じて、研究成果のより多くの政策立案者にインプットしていく。
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