研究課題/領域番号 |
21H03306
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
国分 貴徳 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (10616395)
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研究分担者 |
金村 尚彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20379895)
村田 健児 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (30792056)
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 前十字靭帯損傷 / 自己治癒 / 実験動物モデル / 線維化 / メカノバイオロジー / 制動力 / マウス / 靭帯強度 / 再断裂 / 運動 / 細胞外マトリクス / fibrosis / TGF-β |
研究開始時の研究の概要 |
本研究構想では, 様々な臓器疾患の慢性状態として近年各分野で解明が進む“線維化“のメカニズムを,一般的なスポーツ外傷であり一度損傷すると自己治癒しないとされる前十字靭帯(ACL)損傷の自己治癒過程に応用する.具体的には、申請者がこれまでに開発した、ACL損傷後の異常関節運動を制動することで損傷ACLを治癒に導く過程において,靱帯回復の重要な指標であるに直接的に影響を及ぼす強度細胞外マトリックス合成機序を解明する.更に,その機序を促進する効果的なリハビリテーション介入の開発につながるメカノバイオロジー機構を明らかにすることで,本研究成果を臨床へトランスレーションしていくことを目指す.
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研究実績の概要 |
今年度は,前十字靭帯(ACL)損傷後における関節包内の生物学的環境を分析するため,既存のモデルACL損傷モデルにおいて懸念された外科的侵襲の影響を回避する新たなモデルを開発し,その分析を行なった.その中で,完全損傷ACLを自己治癒に導くために必要とされてきた関節の異常な運動を制動するモデルの制動力を再検証した.モデル動物をこれまでのラットからマウスに変更したために外科的侵襲も変更が必要となったが,特に制動力の強さについてはマウスに特化した検討を行った.結果として制動力が一定値を下回るとACLの自己治癒率が顕著に低下することが明らかとなり,治癒を目指すためには早期から一定程度以上の異常関節を運動制御することが必要であることを確認した.この成果については,プレプリントで公開し,現在投稿段階である. この成果をもって,新規マウスモデルでの運動介入実験を開始した.この研究では,これまで自己治癒したACLの力学的強度が正常に比べ低値を示すというプレデータに対し,回復過程において一定時期から運動介入を実施することで,治癒靭帯における治癒部組織の再靭帯化を促進し,ACLの治癒精度を高めることを目的とした.なお,早期の運動介入は,一方で再断裂を招くリスクもあるため,今年度の研究では.リモデリング期を対象とした.結果として,運動介入により有意な治癒ACLの力学的強度を促進することはできなかったが,最も懸念された治癒ACLの再断裂は起きていなかった.期待された細胞外マトリクスの合成には群間差はなく,より早期から運動介入することの必要性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的を達成するために必要となる新規マウスモデルを開発・確立し,そのマウスモデルを対象とした運動介入効果検証実験も第一段階まで完了した.以上は概ね当初の計画通りの進捗であり,これらの成果について,プレプリントも公開できるまでにデータを集めることができているため,概ね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,最終目的である自己治癒したACLの治癒部における細胞外マトリクスの合成を促進するため,より早期からの運動介入を行う実験を行う.今年度の成果で,リモデリング期における運動介入は再断裂を発生させないことを担保できたため,次年度ではより早期からの介入を予定している.損傷ACLの治癒早期から運動介入を行うことによる炎症の遷延化や際断裂のリスク等を考慮する必要はあるが,治癒組織の細胞活性が安定的変化を呈する以前に,一定程度の外的ストレスにより治癒を促進していくことが重要であると考えており,この点を検証していくことを目的としている.
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