研究課題/領域番号 |
21H03511
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 大阪大学 (2022-2023) 九州大学 (2021) |
研究代表者 |
早志 英朗 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 准教授 (00790015)
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研究分担者 |
古居 彬 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30868237)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | ニューラルネットワーク / 深層学習 / ベイズ推定 / 希少データ |
研究開始時の研究の概要 |
深層学習は複数の分野で成功を収めてきたが,十分な精度を得るには大量の学習データが必要となる.そのため,医療データのようなデータ収集にコストがかかり,ラベリングに専門知識が必要なドメインでは適用が困難な場合が多い.そこで本研究では,希少データを適切に学習するための技術として知識埋め込み型ベイズニューラルネットワークを提案する.提案法では領域の知識を確率モデリングし,ネットワーク構造へ埋め込むことで少ないデータ数での学習を可能にする.また,ベイズ的に学習することによって,不確実性の推定や欠損値の補完など柔軟な確率計算を実現する.さらに,生体信号や医用画像といった実データ解析応用へ展開していく.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,希少データのための機械学習手法の開発とその実応用である.本研究は,(A) 特殊な分布を利用したBayesian Deep Neural Network (BDNN)の開発,(B) 確率モデルのネットワーク埋め込み,(C) 希少データ解析への応用から構成される.各項目に関連する研究実績は以下の通りである. (A) 相対的な順序ラベルが付与されたデータセットから学習できるBDNNを提案した(Kadota et al, MIUA, 2022).提案法は,病気の重症度推定のような段階的なスコア予測タスクに利用できるだけでなく,提案BDNNの不確実性予測とactive learningと組み合わせることにより,内視鏡画像の効率的なアノテーションへ応用した. (B) 確率モデルに基づくNNを複数提案した.第一に,正規分布をベースとしたenergy-based modelとsoftmax関数を用いた識別層を相関させつつ学習する方法を提案し,識別器の信頼度較正へ応用した(Hayashi, MIRU, 2022).さらに,提案法で構成した信頼度を利用した疑似ラベル学習手法を提案し,半教師あり画像識別タスクへ応用した(鳥羽ら,電気情報関係学会,2022).第二に,隠れマルコフモデルに基づくNNを提案し,脳波識別ならびにブレインマシンインタフェースに応用した(Hayashi and Tsuji, IEEJ Trans., 2022). (C) 新生児の自発運動であるgeneral movements (GMs)動画像の自動識別において既存手法を上回る精度を達成した(Hashimoto et al., MICCAI, 2022).提案法では新生児を情報から撮影した動画像に対して,空間情報と時間情報を抽出するNNをそれぞれ構築し,抽出した特徴量を結合することで精度良い識別に役立てる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は (A) 特殊な分布を利用したBayesian Deep Neural Network (BDNN)の開発, (B)確率モデルのネットワーク埋め込み,(C) 希少データ解析への応用のいずれの項目においても一定以上の研究成果を挙げることができた.特に,当初の計画で今年度重点的に取り組むとしていた(C)について,新生児運動の自動識別に関する研究が医用画像解析に関するトップ会議であるMICCAIに採択された.また,(A)や(B)についても初年度に引き続き国際ジャーナルや国際会議論文として発表でき,継続的に成果を上げられたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は確率モデルやニューラルネットワーク開発に関して継続的に進めつつ,(C) 希少データ解析の応用をさらに発展させる.特に,cardiotocographyやGMsのような希少な生体信号や動画像の解析に引き続き取り組む.また,このようなデータはアノテーションに関する専門性が非常に高く,アノテーション可能な人材が不足するため,アノテーションを効率化するactive learning等の手法を開発する.また,確率モデルが推定する不確実性をより正確にするための較正手法に関する研究にも引き続き取り組む予定である.
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