研究課題/領域番号 |
21H03671
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原 圭史郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30393036)
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研究分担者 |
北梶 陽子 広島大学, ダイバーシティ&インクルージョン推進機構, 准教授 (10781495)
黒田 真史 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (20511786)
倉敷 哲生 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30294028)
上須 道徳 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50448099)
渕上 ゆかり 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (70712834)
野間口 大 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90362657)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | フューチャー・アセスメント / 仮想将来世代 / 参加型討議 / 評価法の社会実装 / 社会共創 / フューチャー・アセスメント手法 / 参加型評価・意思決定 / アセスメント手法の社会実装 / 将来世代の利益 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現世代代と将来世代双方の立場・視点から、現代における意思決定や施策の影響を体系的かつ総合的に評価するためのフューチャー・アセスメント手法の基盤構築を行うとともに、本手法の行政における応用実践のための仕組みづくりを主目的とする。具体的には、「仮想将来世代」導入を方法論として活用し、大規模アンケート調査や自治体と連携した参加型討議実験を進めることで、将来世代の利益も考慮した持続可能な意思決定を生み出すためのメカニズムの解明と、そのための効果的な仕組みや手法を体系的に整理する。これらの知見を総合化して、フューチャー・アセスメント手法の基盤の構築を行い、行政応用のための道筋を探る。
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研究実績の概要 |
以前実施した、大阪府吹田市の環境計画をテーマとした参加型討議実践の結果データを用いて、仮想将来世代の導入効果や個人属性と将来世代視点取得との関係性について解析し論文にまとめた。討議の発言データおよび討議終了後(各回)に実施したアンケート調査のデータに基づき、一要因分散分析および重回帰分析を行った結果、1)「将来に対する危機意識」や「社会全体にとって望ましいと思われる目標の共有認識」などの項目関わる認知は、仮想将来世代の仕組みを導入することで有意に高まること、2)現世代視点から意思決定する際には、個人特性としての「批判的思考(Critical thinking)」の度合いが、上記項目の認知の高まりに影響したが、仮想将来世代の仕組みを導入することで、「批判的思考」の度合いはこれらの認知の高まりに有意に影響を与える要素ではなくなること、などを明らかにした。 また、吹田市と連携し、水道インフラの維持管理問題およびカーボンニュートラルを目指した再生可能エネルギー導入計画を題材として研究を進めた。前者については、無作為抽出の市内2000世帯を対象にアンケート調査を実施し、仮想将来世代の仕組み導入がインフラ維持管理の施策や政策立案の方針にどのような影響を与えうるか、という観点について分析を進めた。後者については、吹田市内に太陽光発電、電気自動車を導入する複数のシナリオを基に、2050年までのコスト削減効果、CO2排出量削減効果のシミュレーションを行った。これらのデータも踏まえて、市職員が参加する仮想将来世代を導入する討議実践(実験)をい、得られたデータから、仮想将来世代導入による政策デザインや意思決定への効果や意義を明らかにするべく分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、吹田市等の自治体との連携に基づいてフューチャー・アセスメントの方法論構築に資する研究を進めてきた。本研究では特に、水道等の社会インフラの維持管理問題やカーボンニュートラル社会実現に向けた再生可能エネルギーの導入問題など、長期的課題(サステイナビリティ問題)を題材として取り上げ、主に1)住民等に対する大規模アンケート調査、2)自治体職員を含めたステークホルダー参加による討議実験、の2つのアプローチから研究を推進した。これらの研究より得られたデータを使って、仮想将来世代の仕組み導入が人々の意思決定や判断に与える影響や、個人属性と将来世代視点の取得の度合いとの間の関係性、を明らかにすべく分析を進めてきた。 これまで計画通り研究を進めてきており、着実に研究成果も生み出すことができていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、吹田市や岩手県矢巾町などの自治体と連携し、フューチャー・アセスメントの方法論構築のための研究を進める。具体的には、1)討議実践(実験)やアンケート調査から得られたデータの解析結果を踏まえ、仮想将来世代の導入効果や個人属性の影響などフューチャー・アセスメント手法開拓に関わる研究成果を取りまとめ、論文執筆や学会発表を実施、2)自治体との連携による、フューチャー・アセスメント手法開拓を目的とした参加型討議実践の継続実施、3)アセスメント手法の汎用的な行政応用に向けた課題と道筋の論点整理、を進める。
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