研究課題/領域番号 |
21H04478
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
谷田 聖 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (00360587)
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研究分担者 |
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (10259872)
橋本 直 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 理研ECL研究チームリーダー (20732952)
早川 修平 東北大学, 理学研究科, 助教 (30868261)
佐甲 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40282298)
市川 裕大 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50756244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2021年度: 26,260千円 (直接経費: 20,200千円、間接経費: 6,060千円)
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キーワード | エキゾチックハドロン / ハドロン分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、Belle実験及びCrystal Ball実験のデータによってその存在が示唆されている新しいエキゾチックハドロン、Λ(1665)を探索し、もし存在するならばそのスピン・パリティを決定する。Crystal Ball実験と同様にK-p → Λη反応をスレショールド(pK-= 723 MeV/c) 近辺で行うが、J-PARCの高強度K- ビームとHypTPCと呼ばれる大立体角検出器を使うことにより、Crystal Ballの100倍以上と、目的を達成するのに十分な統計を得ることができる。
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研究実績の概要 |
液体水素ターゲットおよびターゲットホルダ部分に関しては、まず防爆システムの試験を行い、良好な結果を得た。また、気密試験を行って、ターゲットホルダ側からHypTPCに漏れ込む空気を減らすよう工夫した。その結果、HypTPC内の不純物ガスの量としてH2O(水蒸気)で100 ppm以下、O2(酸素)で10 ppm以下と以前の実験の時よりも良い値が得られた。これらの結果より、ターゲットをHypTPCに組み込む準備が整った。その上でHypTPCの長期安定性の試験が進行中である。
その一方では、トリガーカウンターであるビームエアロゲルチェレンコフカウンター (BAC)およびK中間子ベトーカウンター(KVC)の性能評価をKEK-ARテストビームラインにて行った。その結果、BAC・KVCの両方ともに99%以上の検出効率が得られ、またその位置依存性も十分許容範囲であり、実用に耐えることが示された。 以上にあるように、実験準備は順調に進んでおり、検出器やその他の実験装置をJ-PARCハドロンホールのK1.8BRビームラインにインストールできる準備は整っている。しかしながら、現在K1.8BRビームラインにおいては、前の実験(E73実験)が進行中であり、2023年夏までに終了している予定であったものの、2023年6月にハドロン施設で火災が発生したためにほぼ1年の延期を余儀なくされた。そのため、E73実験が終了して我々の実験装置をインストールできるようになるのは2024年夏になる見込みである。
理論研究では、Λ(1665)と同じくペンタクォークの候補であるΩ(2012)バリオンの構造を解析した。クォークからなる硬い構造とメソンとバリオンからなる柔らかい構造の混合理論により、散乱振幅と崩壊の解析を行った。また、チャンネル結合理論を用い、散乱振幅の閾近傍における振る舞いの解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、ターゲットをHypTPCに組み込む準備が整い、HypTPCの長期安定性の試験を進めることができたため、予定している実験自体の準備は順調に進捗しているが、実験施設であるJ-PARCで発生した火災の影響を受けて、ビームタイムが1年遅れているため、全体としては、やや遅れている。と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
J-PARCのビームタイムの遅れは実験施設側の問題であるため、研究者側で対策を講じることは難しいものの、実験を行うビームラインが空き次第実験装置をインストールできる様、入念な事前準備を行うとともに、実験データ収集後の解析作業に掛かる時間の短縮化を図るため、予め部分波解析の練習を行い、少しでもビームタイムの遅れをカバーする。
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