研究課題/領域番号 |
21H04567
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松井 佳彦 北海道大学, 工学研究院, 名誉教授 (00173790)
|
研究分担者 |
松下 拓 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30283401)
白崎 伸隆 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60604692)
安藤 直哉 北海学園大学, 工学部, 准教授 (20847595)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
42,770千円 (直接経費: 32,900千円、間接経費: 9,870千円)
2023年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2021年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
|
キーワード | 環境技術 / 環境材料 / 土木環境工学 / 反応・分離工学 / 水資源 |
研究開始時の研究の概要 |
低圧膜分離を使った浄水処理は水質や維持管理性など多くの面から期待され、約20年も前から研究開発されている。しかし、根本的な問題であるろ過に伴い膜が汚れ、膜ろ過差圧が上昇し必要駆動力が大きくなる膜ファウリングが課題であり、特に低水質原水への適用を難しくしている。このような中で研究代表者らは高塩基度凝集剤で前処理し、その後に超微粒子吸着材を膜ろ過の直前で間欠添加すると膜ろ過差圧がほとんど上昇しないという興味深い結果を得た。この研究では、この知見を大きく展開し、膜ファウリングを著しく低減した膜ろ過法を世界で初めて創出することを目指す。
|
研究実績の概要 |
研究の目的は,浄水への膜ろ過を適応するに際しての最大の課題の1つである膜ファウリングを抑制する技術を開発するとともに,そのメカニズムを解明することである.本研究では超微粉炭(粒径200 nm)の短期間のパルス添加による前処理法を中心に,その膜ファウリング抑制効果を検討する. 本年度は,超微粉炭パルス添加プレコート法が有効であった浸漬型膜ろ過についてさらに検討を進めた.ラボスケール装置を用いた膜ろ過実験を行い,超微粉炭のパルス添加の継続時間,凝集剤の添加時間,プレコート時のろ過フラックスなどを検討し,浸漬膜ろ過における超微粉炭プレコート法の最適条件をプレコート時のろ過流束に焦点をあてて検討した. 高いプレコート濾過フラックスはTMP上昇を抑制するのに役立たないことが示唆された.高いプレコートろ過フラックスは,膜をファウリングから保護するプレコート層の形成を早めると考えられてきたが,実際のTMP上昇は,低いプレコートろ過フラックスでのTMP上昇と同様かそれ以上であった.プレコートろ過流束を高くしても膜ファウリングを効率的に軽減できないメカニズムとしては,NOMファウリングよりもプレコート層の一部が膜に密着していることが関係している可能性がある.また,プレコートろ過流束を上げてもプレコート効率が高まらず,このことも要因として考えられた.プレコートろ過の流速を遅くすることはTMP上昇を抑制するのに有効であると考えられるが,SSPACや凝集剤の投与量が少ない場合には有効でなかった.プレコートろ過フラックスを下げると,プレコート層が膜にあまり強く結合しないため,逆洗時に除去しやすくなる.しかし,SSPACが槽内で沈殿しプレコート完了までに要する時間が長くなるため,その間で膜が汚濁物質にさらされる結果として膜がファウリングし,膜間差圧上昇は気体ほど抑制されなかったと思われる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SSPACのパルス投与は,連続投与と異なり,ろ過の初期に過剰投与となり,膜ファウリングの原因となるNOMがより多くSSPACに吸着された.したがって,SSPACのパルス投与では,ろ過開始前の浸漬槽の水は膜ファウリング物質であるバイオポリマーなどの濃度が低くなっていた.その意味で,ろ過開始前の浸せき膜ろ過槽に原水の代わりにろ過水(処理水)を戻せば,NOMによる膜ファウリングをさらに防止できる可能性がある.そこで,原水または濾液を凝集とSSPACで同様に処理し,浸漬槽に供給して膜ろ過を開始するろ過実験を行った.水中槽に原水よりもろ液を初期投入した方が不可逆的ファウリングによる膜間差圧の上昇が小さく,プレコート期間のNOM濃度が低い方が膜ファウリング防止に役立つことが示された.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,超微粉炭パルス添加プレコート法が有効であった浸漬型膜ろ過についてさらに検討を進める.ラボスケール装置を用いた膜ろ過実験を行い,凝集剤の種類,その添加タイミングについて検討し,浸漬膜ろ過における超微粉炭プレコート法の最適条件を検討する.
|