研究課題/領域番号 |
21H04806
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 神戸大学, 医学研究科, 教授 (10311565)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2021年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / がん抑制シグナル / 癌抑制シグナル / 癌抑制遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
多種類の腫瘍で高頻度に遺伝子異常や発現異常を認め、癌の発生・進展に直接的に重要な役割を果たす癌抑制ドライバー経路は、格好の抗癌剤標的となることから、これら経路にある主要分子が精力的に解析されてきたものの、その制御機構にはまだ不明な点が多い。本研究課題では、癌抑制ドライバー経路の新制御機構を解明し、その制御機構を標的とする新しい抗癌剤開発につなげるための基礎研究を行うものである。
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研究実績の概要 |
(A)核小体ストレスーp53経路:核小体において、rRNAはPICT1とRPL18の3者で結合しているが、rRNAが減少すると、PICT1とRPL18の結合が減弱し、これによってPICT1の安定性が失われて、核小体ストレスを引き起こすこと、すなわち核小体ストレスの初期感知機構をin vitroで明らかにした。 またin vivoでは、生後タモキシフェン誘導性にRPL18を欠損するマウスでは、PICT1が発現減弱し、p53が増加して造血障害をみること、またこの造血障害はp53の増加に部分的に依存することを見出した。 (B)PTEN経路: 新たに見出した、PTENを不安定化作用する3分子(A,B,C)については、A、BがPTENのSUMO化を、CがPTENのユビキチン化を制御すること、A, B, Cの各欠損がPTEN依存性に癌細胞の増殖抑制を示すこと、これら分子はPTENと直接結合することをin vitroで見出した。またin vivoではAのヘテロ欠損マウスは生存するが、ホモ欠損マウスは出生後すぐに死亡することまで見出した。 (C)Hippo経路: siRNAスクリーニングにより、YAP/TAZを強力に増強する分子Dを見出した。そこで、その作用機序を検討したところ、YAP/TAZを抑制するVGLL4のmRNAに結合し、その転写や翻訳を抑制することで作用することをin vitroで見出した。またin vivoでは分子Dの肝臓特異的なトランスジェニックマウスの作成を終了し、このマウスはYAP/TAZ活性が上昇して肝腫大をみることまでを、見出している。 さらに脂肪組織におけるHippo経路の抑制は、脂肪細胞の腫瘍化はみないものの、肥満抵抗性や糖代謝改善に働くことも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた研究は、ほぼ予定通りこなせたことにより、研究はほぼ順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
(A) 核小体ストレスの初期感知機構に関しては、詳細をつめて、本年度の投稿を目指す。
(B)PTEN経路: A,BによるPTENのSUMO化が如何にPTENタンパク質の不安定化を導くのかを検討する。Cには多くのパラログが存在するために、これらのPTENに対する効果の差を検討する。A.Bの変異マウスに関しては、経時的変化を観察する。
(C)Hippo経路:分子Dのin vitroの機能に関しては、今年度中の論文投稿を目指す。肝臓特異的なトランスジェニックマウスに関しては、癌の発症の有無を経時的に観察する。また脂肪特異的なHippo経路抑制の研究成果は、今年度中の論文投稿を目指す。
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