研究課題/領域番号 |
21H04865
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
竹内 正義 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20154982)
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研究分担者 |
瀧野 純一 広島国際大学, 薬学部, 講師 (00440529)
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
郡山 恵樹 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70397199)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2023年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
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キーワード | 毒性終末糖化産物 / Toxic AGEs (TAGE) / TAGE原因説 / 生活習慣病 / 現代の食習慣 / 細胞障害 / TAGE修飾蛋白質 / TAGE化蛋白質 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の食習慣の特徴(砂糖/果糖ブドウ糖液糖/食事性AGEsの習慣的な過剰摂取)が、肝臓の他、心臓や脳、血管内においてもTAGEの蓄積をきたして各種細胞障害を引き起こす機序を各種細胞及び動物レベルで網羅的に解明する。また、独自に開発したTAGE特異的評価系を用いてTAGE蓄積を抑制する化合物を探索し、その病態改善効果を疾患モデル動物等を用いて検証する。 本研究は生活習慣病予防や健康寿命延伸の新規概念「TAGE原因説」の確立に迫ることのできる独創的な研究であり、セルフメディケーションの推進や医療費削減等、国民生活に大きな福音をもたらすことが期待される。
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研究実績の概要 |
令和5年度においては以下の研究を実施し、令和6年3月末開催の日本薬学会第144年会シンポジウム45「毒性終末糖化産物(TAGE)と健康」のセッションで成果を発表した。 【1】肝/心筋細胞障害:1)TAGE分解モデルCHK1変異体がGAによるTAGE修飾を受けて、ユビキチン・プロテアソーム系を介して迅速に分解されることを見出した(Cells 2023;12:2838)(竹田,坂井,竹内)。2)GA耐性細胞株の獲得を継続して実施した(石垣,中村)。【2】神経細胞障害:1)GA処理により軸索伸長に関与するβ-tublinの凝集が軸索形成不全を起こすことを見出した(Curr Alzheimer Res 2023;20:677)(郡山,古川,協力者,竹内)。【3】血管内皮細胞障害:1)RasGRP2安定過剰発現(R)株とMock(M)株をGA処理すると細胞内TAGEが生成されたが、R株では生成量が抑えられた(YAKUGAKU ZASSHI 2023;143:917)。2)GA添加によってTAGE修飾eNOSの高分子量バンドが検出された(瀧野,宮崎,協力者,竹内)。【4】小腸上皮細胞障害:1)Caco-2細胞における腸管バリア機能に対する影響が細胞内TAGE量と相関する結果が得られ、細胞内に蓄積したTAGEが腸管バリア、特に密着結合の破綻を引き起こす可能性が示された(松永,堀,岩尾,協力者,竹内)。【5】TAGE量測定とTAGE構造:1)海外共同研究の「癌と栄養に対するEPICコホート研究」において、血中TAGE量が結腸直腸癌特異的死亡率及び全死因死亡率と相関することを明らかにした(Int J Cancer 2023;152:2257)(竹内)。2)TAGEの推定構造を解明した(Med Hypotheses 2024;183:111248)(竹内,協力者,竹田,坂井)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、当初の計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実績に基づき、令和6年度は以下の研究計画を継続して実施する。 【1】肝/心筋細胞障害(金沢医科大G):1)TAGE修飾蛋白質の分解経路について、低濃度GA処理細胞等を用いてTAGE分解標的蛋白質や各種蛋白質分解経路のノックダウン系及び代謝阻害剤等の影響の解析を行う。2)GA耐性細胞株を用いて、網羅的な遺伝子発現解析等を実施してTAGE耐性獲得の分子機構を明らかにする。 【2】神経細胞障害(鈴鹿医療科学大G):1)成体中枢神経再生モデルを用いて、GAがβチューブリンのTAGE修飾に伴う異常凝集を引き起こして軸索伸長を阻害することを精査する。2)また、TAGE阻害剤でそれらの神経変性が抑制されるかどうか検討する。 【3】血管内皮細胞障害(広島国際大G):1)eNOSを過剰発現させた細胞株を樹立し、TAGE修飾蛋白質の機能障害を検討して血管内皮細胞の細胞内TAGE蓄積における影響を明らかにする。2)循環血液中のAGEs-/TAGE-ペプチドの血管内皮細胞に及ぼす影響についても検討する。 【4】小腸上皮細胞障害(名古屋市立大G):1)Caco-2細胞を用いてGA添加時にTAGE修飾される蛋白質を同定する。2)また、ヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞を用いて、腸管バリアや密着結合形成に関する蛋白質に対する影響及びTAGE修飾蛋白質について解析・検討する。 【5】TAGE蓄積抑制食品成分等の探索(金沢医科大G):1)TAGE特異的評価系を用いたTAGE生成阻害食品成分等のスクリーニングを継続して実施する。2)GA添加により迅速に分解されるモデル基質(d270KD)にLuciferaseを融合したTAGE分解活性測定系を確立して、TAGE分解に影響を与える食品成分等をスクリーニングする。これらの結果を踏まえて、小腸-肝臓連結MPSモデル等での検証の可能性を検討する。
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