研究課題/領域番号 |
21K01020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 青森大学 |
研究代表者 |
櫛引 素夫 青森大学, 社会学部, 教授 (40707882)
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研究分担者 |
三原 昌巳 昭和女子大学, 人間文化学部, 講師 (50723889)
大谷 友男 富山国際大学, 現代社会学部, 准教授 (40321715)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 北陸新幹線 / 東北新幹線 / 北海道新幹線 / 地域医療 / 新幹線通勤 / IGRいわて銀河鉄道 / 医師確保 / 広域移動 / 整備新幹線 / 並行在来線 / 二次医療圏 / 積雪寒冷地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、地域医療の持続可能性向上について、以下の3つの点から考察を進める。
①全国の整備新幹線沿線の地域医療に着目し、医療機関の立地や、医師充足率など二次医療圏データと、整備新幹線・並行在来線の関係性を明らかにする ②整備新幹線沿線の中で、自然環境が厳しく人口減少・高齢化が進む北陸・信越県境、北東北~北海道道南の9医療圏を対象に、医療機関や医療従事者の、ハード・ソフト面の実態を把握する ③これらに基づいて整備新幹線・並行在来線と地域医療に関する基礎的資料を作成し、新幹線開業を控えた地域も含め、地域医療の維持に整備新幹線が果たし得る役割を明らかにして、政策形成への貢献を目指す
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研究実績の概要 |
・東北・北海道新幹線沿線の岩手・青森・北海道道南地域の100病院、および北陸新幹線沿線の北信医療圏(長野)、上越医療圏(新潟)の20病院を対象に、前年度から持ち越していたアンケートを企画した。北信・上越医療圏については聞き取り調査を進め、日本地理学会2022年秋季学術大会、2023年春季学術大会で報告した。 ・上越医療圏と北信医療圏の2医療機関において、常勤医と非常勤医の新幹線通勤圏は関西圏から東京圏まで広範囲であること、診療科は多岐にわたること、新幹線通勤の交通費負担が病院経営を圧迫していることなどを明らかにできた。医療提供機会の増加や医療の質向上の動きも確認された。 ・アンケートに回答した医療機関への聞き取り調査の結果、▼非常勤医師30名超のうち20名が新幹線通勤し、乗降駅は、富山駅、飯山駅、東京駅、宇都宮駅に及ぶ▼新幹線で通う非常勤医師の当直で、前泊が解消された▼東京駅から新幹線で通勤する非常勤医師が8名いる…といった事例が明らかになった。 ・やはり前年度から持ち越した岩手県の並行在来線会社・IGRいわて銀河鉄道にもヒアリングを実施した。同社は地域の潜在的ニーズに応えつつ、「利用者に信頼される鉄路」の理念、および「岩手県北から盛岡への通院患者・支援者」の負担軽減を実現するため、割安の切符提供と乗合タクシーをパック化した「IGR地域医療ライン」サービスを提供している。結果は日本地理学会2022年秋季学術大会で報告した。 ・このほか、2024年春に北陸新幹線延伸を迎える福井県敦賀市の公立病院長にヒアリングを行い、現状認識や延伸への問題意識を確認できた。以上の結果の概要は弘前大学大学院地域社会研究科の研究誌に投稿、ネット公開され、広く社会に還元できた。また、福井経済同友会例会、北海道政経懇話会例会など3件の依頼講演とメディア報道を通じて、社会に知見が共有された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・COVID-19の影響が残り、2021年度から持ち越した東北・北海道新幹線および北陸新幹線沿線における病院アンケートが2022年度の後半にずれ込んだ。 ・その一方で、本研究の目的の一つである「これから新幹線開業を迎える地域」へのアプローチが、当初の想定より早く、福井県敦賀市において実現した。また、独自調査によって、北海道道南地域の長万部町、八雲町についても情報収集ができた(結果は未公表)。これらは2023年度の調査・活動への布石となった。 ・社会への還元の面では、新潟県上越地域との協力体制を構築しつつあり、2023年度の報告会・意見交換会の準備が進んでいる。 ・以上を総合的に判断して、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
・2023年度が最終年度となることから、以下の目標を着実に達成する。 ①アンケート結果に基づき、回答した病院および関連機関への聞き取り調査実施と結果の報告・アウトプット(東北・北海道新幹線沿線) ②アンケート結果およびヒアリング結果の論文化とアウトプット(北陸新幹線沿線) ③北陸新幹線沿線および東北・北海道新幹線沿線における報告集会(ハイブリッド)の開催などを通じた社会への還元 さらに今後、2024年春の敦賀延伸に向けて、地元の動きをウオッチする。また、入手済みの二次医療圏データベースについて、有効活用策を探る。なお、前年度の報告書に記した西九州新幹線と医療の関係性については、2022年度の他事業での調査によって、調査検討の時期が尚早であると判断されたため、実施しない。
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