研究課題/領域番号 |
21K01085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
澤井 充生 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (20404957)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 中国少数民族 / イスラーム / ハラール / 飲食業 / 民俗知 / 屠畜 / レジリエンス / 少数民族 |
研究開始時の研究の概要 |
現代中国のハラール産業界において模索される民俗知の継承・改変・創出に注目し、ハラール産業が政治・社会・経済変動に翻弄されてきた/いる経緯をふまえたうえで、民俗知のレジリエンスのもつ可能性を検討する。その際、近年、東南アジア諸国発祥の現代的なハラール認証制度が中国国内のハラール産業界にも導入されつつある新しい状況も視野に入れながら、民俗知のレジリエンスが資本主義経済のグローバル化やヒト・モノ・情報のボーダレス化との接触において持ちうる意味を中国ムスリムの伝統的生業という日常実践の次元から解明する。
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研究実績の概要 |
2022年度もコロナ禍のため海外渡航を実現することができなかったため、日本国内において中国国内のハラール産業に関する基本文献(主に日本語、中国語)を収集・整理し、また、SNSを活用して中国在住の情報提供者に対して聞き取り調査を実施し、中華人民共和国成立後の社会主義建設と回族のハラール産業との関わりを主に北京市のハラール飲食業に焦点をあわせて分析した。詳細については拙稿[澤井 2023]で論じたように、中国共産党が1950年代以降に社会主義改造、宗教制度民主改革、文化大革命を強行した結果、私営のハラール飲食店が<改革>の対象とみなされ、回民の創業者一族が経営権を失い、ハラール飲食店が国営企業として集団化された過程とその意味を考察した。 このようなハラール産業の歴史的変遷を現代中国の政治社会変動と関連づけながら考察した研究には以下のような意義および重要性がある。すなわち、中国共産党が1949年に政権を樹立した後、少数民族の伝統的な生業がどのような荒波に巻き込まれ、ハラール産業従事者が翻弄されることになったのかという基本的な問題を個別具体的に検証することができる。また、ハラール産業のなかの飲食業という特定の業種に焦点をあわせ、飲食業経営者が歩んだ歴史(軌跡)に注目することによって、現代中国に暮らす少数民族が経験した社会主義建設(特に社会主義改造にともなう公私合営化、国営化)の実態をミクロな次元から深く知ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度も初年度と同様、コロナ禍のため海外渡航を実現することができなかったが、そのかわり、文献調査および文献研究、SNSを活用した情報提供者への聞き取り調査を 実施したため、本研究課題は比較的順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は中国本土および香港への渡航が再開されることになったため、文献研究だけでなく、フィールドワーク(聞き取り調査、参与観察)を実施し、本研究課題をできるかぎり予定通り執行するつもりである。
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