研究課題/領域番号 |
21K01088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
眞嶋 亜有 明治大学, 国際日本学部, 専任講師 (40468559)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 近現代日本 / 生活文化 / 衛生 / サラリーマン / ジェンダー / スリッパ / 生活習慣 / 比較 / 生活空間 / 西洋化 / 日本化 / 土足 / 心性 / 風土 / 家族 / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近現代日本における生活文化や家族といった誰もが関わる日常空間で形成されてきた心性の系譜を明らかにすることを目的とし、そのための切り口として水虫(足白癬)をめぐる国際比較を手がかりに、学際的に問う試みである。水虫をめぐる人々の捉え方や振る舞い、その構成要素としての生活空間や家族との関係性との国際比較を手がかりとするのは、水虫は万国共通の皮膚病でありながら、人々の認識や振る舞いは大きく異なり、その文化差とは、その国と地域の生活文化や心性をめぐる歴史・社会・文化・思想的背景と密接な関わりを持つため、この視点が包含的な心性の理解への視座構築に寄与できるからである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、近現代日本における水虫が白癬の総称から足白癬に限定されていく歴史的過程の一因となったスリッパの歴史的展開に着目し、以下三本の論文を発表した。
一、眞嶋亜有「清潔志向のパラドクスとしての水虫―1990年代の日本における足白癬と生活習慣との関係性を中心に」『比較生活文化研究』第29号、日本比較生活文化学会、2023年:。本論では、足白癬(水虫)が国民的蔓延を見せ始め一つのピークに達した1990年代を中心に発表された皮膚科専門医らによる足白癬と生活習慣をめぐる医学論文調査に基づき、なぜ日本の水虫が世界各国と比較しても顕著な難治性を持ち、完治が困難であるのかを生活文化の視点から考察した。 二、眞嶋亜有「近現代日本のスリッパをめぐる一考察:西洋化に伴う日本化の観点から」『比較文化研究』第149号、日本比較文化学会、2022年: 日本のスリッパが、欧米のslippersと異なる点は、歴史的には寝室のみに使用された欧米のslippersに対し、日本のそれはトイレ・台所・縁側・来客用など用途別に複数のスリッパが家庭内や公共空間で使用されていることであり、本論では明治以降、なぜ如何にしてスリッパがslippersとは異なる歴史的展開を見せたかを考察した。 三、眞嶋亜有「戦後日本のスリッパとサラリーマンをめぐる表象―企業文化(忘年会・社員旅行・社内でのサンダル履き)との関連性を手がかりに」『明大教養論集』第566号、2023年:本論では、高度経済成長期以降台頭するサラリーマンとスリッパの表象を忘年会・社員旅行・社内でのサンダル履きの関連性を手がかりに考察を試みた。明治以降、西洋化に伴う日本化の産物として誕生・定着したスリッパは多面的要素を持ったた生活文化であるが、本論では、サラリーマンに代表される中高年男性が社会や家庭において疎外されていく傾向を捉えるための手がかりとして考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍等による海外渡航制限が国外での調査に影響を及ぼしていることは否めないが、国内での資料調査や論文執筆に関しては2022年度内で三本の論文を発表することに至ったため、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は徐々に緩和されていく様々な海外渡航制限に伴い、国外での調査研究をできる限り行い、それと並行して本研究の基軸となっている国際比較の観点、とりわけ家族と心性をめぐる学際的な調査を推進していく。
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