研究課題/領域番号 |
21K01095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 立教大学 (2022-2023) 千葉大学 (2021) |
研究代表者 |
佐伯 昌彦 立教大学, 法学部, 教授 (10547813)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 刑事政策 / 世論 / 応報的公正 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,刑事政策に関する問題について国民がどのように考えているのかという点について,これを特定の政策への賛否だけで捉えるのでは不十分であるとの認識に立ち,その意見の多元性にも注目して検討するものである.あわせて,特定の政策において厳罰政策を支持する方向に回答が集中する点についても,検討を加える.本研究では,これらの課題について心理学的な観点から仮説を構築し,インターネット調査によってその仮説の実証を試みる.そして,そのような調査から得られた知見を踏まえて,刑事政策における世論の適切な位置づけを探求することが本研究の最終的な目的である.
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研究成果の概要 |
人びとの刑罰意識を把握するため、ネット調査を行った。この調査では、抽象的に政策の賛否を尋ねるかたちでマクロ刑罰意識を測定し、あわせて、具体的な事件を前提とした刑罰意見を尋ねるかたちでミクロ刑罰意識を測定した。 得られたデータを分析した結果、マクロ刑罰意識に関しては、国民は厳罰だけを求めているのではなく、犯罪者の再社会化を促進する政策にも賛成しており、世論を専ら厳罰志向的なものと把握することは適切ではないことが示唆された。ミクロ刑罰意識についても、国民は常に厳罰を求めているわけではないことが示され、マクロ刑罰意識における厳罰政策支持とミクロ刑罰意識の関係は限定的であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
刑事政策上の議論に際して、世論は専ら厳罰政策を支持するものとして受け止められてきた。本調査は、国民の刑罰に関する考え方が多様であることを、マクロ刑罰意識とミクロ刑罰意識とを区別しつつ確認した。本調査結果からは,国民の刑罰意識を単純に厳罰志向的なものと捉えずに、その内容を慎重に整理する必要があること、また、厳罰を求める意見が、実際に刑事司法で扱われる事件のどの範囲にまで及ぶものであるのかを慎重に見極める必要があることが示唆される。このように、刑事政策上の議論を行うにあたって世論をどのように整理し、位置付けるかを考えるうえで、本調査結果は参照すべき知見を提供している。
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