研究課題/領域番号 |
21K01485
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 敏之 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30297618)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 国際環境協定 / 提携形成ゲーム / 所得移転 |
研究開始時の研究の概要 |
複数の国が関与する環境問題の解決に向けて,国際環境協定の締結が不可欠である.本研究は,ゲーム理論の手法を用いて,ただ乗りのインセンティブが生じない安定的な協定を分析する.具体的には,協定に加盟することの見返りにいくらかの資金を譲渡する「所得移転ルール」に焦点をあてて,効率的な結果を導くルールの提案を目指す.本研究により,気候変動防止の交渉が遅々として進まない現状を打破するための政策示唆を提供することが期待される.
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研究成果の概要 |
望ましい国際環境協定の実現のために,協定から抜けようとする国に対して加盟への見返りに資金を譲渡する「所得移転ルール」を考える.加盟国間で行う「内部移転」,非加盟国の一部(サポーター)が行う「外部移転」という2種類を分析する. 2つのタイプの国が混在し,各タイプの汚染削減の便益・費用が大きく異なるという強い非対称性の仮定のもとで,内部・外部移転ともに協定を拡大するが,外部移転がより有効であることを示した. さらに外部移転の分析をすすめ,サポーターに関する最小参加国数ルールを適用した場合に,無理のない条件のもとで,サポーター以外の国がすべて加盟する安定な協定の存在を証明し,数値実験により確認した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国際環境協定を安定化させるための所得移転ルールについては,学術的にも現実の政策上の議論においても,大きく注目されてきた.しかし学術的には,すべての国が同一であるなどきわめて単純な仮定の下で研究が行われている.また現実に即したデータを用いた研究では,解の導出をシミュレーションに頼っており,解の性質についての理論的な議論はなされていない.本研究によって,非対称性をもつ国が混在する状況における内部移転,外部移転の比較がなされ,外部移転という新しい形の移転ルールの有用性が一般的な形で初めて示された.この結果は現実の環境問題についての国家間交渉という面からも意義深いものである.
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