研究課題/領域番号 |
21K01536
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80389337)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ジェンダー指数 / 学力 / ジェンダー格差 / ジェンダー不平等 / 学力の性差 / 世界男女格差指数 / 学力到達度調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、経済・政治・教育・健康などの男女の不平等度が学力の性差に与える影響を明らかにする。先行研究により男性が女性より平均的に数学の成績が高い傾向にあることが示されているが、全ての国で男性の数学の能力が平均的に女性より高いわけではなく、生物学的な違いでは説明できない要因が学力の性差に影響を与えている可能性がある。さらに、男女の不平等度が男女の学力の性差に影響を与えていることも示されているが、どの分野の不平等度の影響が大きいのかについては不明である。そこで、本研究では国によって異なる経済・政治・教育・健康などの男女の不平等度が学力の性差に与える影響を国際的な学力調査を用いて分析する。
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研究実績の概要 |
本研究では、健康、教育、政治、経済分野における男女の不平等度が男女の学力差に与える影響を分析している。男女の不平等度の指標と男女の学力差の関係を分析した先行研究では、男女の不平等度が小さくなるほど男女の数学の学力差が縮小する傾向にあるという結果と、男女の不平等度は男女の学力差に影響を与えないという結果が混在している。異なる結果が得られた理由としては、分析対象とする国の違いや不平等度を測る指標の違いが考えられる。特に、中東諸国においては平均して女子の数学の学力が男子の学力を上回っており、男女の不平等度は大きい傾向にあるが、欧米諸国では女子の数学の学力は男子の数学の学力を下回っており、男女の不平等度は小さい傾向にある。このため、分析対象とする国によって結果が変わった可能性がある。本研究では、最新のデータを用いることによって中東諸国および欧米諸国など幅広い国を対象とすることができた。さらに男女の不平等度を測る指標について、複数の分野の不平等度を一つの数値にまとめた総合指数だけではなく、総合指数を計測する際に用いられる個別の変数にも注目した。個別の変数に注目することによってどの分野の不平等度が男女の学力差に影響を与えるのかについて明らかにできる。現在進行中の分析では、男子の学力が女子の学力を上回っている場合には、高等教育の進学率の男女差が縮小すると男女の数学の学力差が縮小するが、女子が男子の数学の点数を上回っている場合には、高等教育の進学率の男女差が縮小すると男女の数学の学力差が拡大することが明らかになった。一方で、男女の不平等度の総合指数や労働参加率の男女差、国会での女性の議席割合、初等教育・中等教育の生徒数の男女差、思春期出生率、妊産婦出生率は男女の学力差には影響を与えていないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年は、予定どおりに複数の男女の不平等度の総合指数だけではなく、個別の分野の男女の不平等度のデータを整備し、様々な分野の男女の不平等度と男女の学力差の関係について多くの国を対象として分析を行なうことができた。その結果、高等教育の進学率の男女差が男女の学力差と相関していることが明らかになった。これらの結果を国際学会で報告しフィードバックを得て現在はさらに論文を改善しているところである。これまでの分析で明らかになったことは、総合指数や健康、労働参加率、識字率や初等教育、中等教育の男女差については男女の学力差と相関を持たないが、高等教育の男女差については男女の学力差と相関を持つことである。これらの結果は、男女の不平等度と男女の学力差が線形の関係にあるという仮定に基づいているが、数学の学力差も女子が男子を上回っている国が存在する上に、個別の分野の男女の不平等度の指標を見ても女性が男性を上回っている国も存在していることから、男性と女性との間に差がない状態を変曲点として、男性が女性を上回る場合の不平等が拡大したときに男女の学力差が拡大(または縮小)し、女性が男性を上回る場合の不平等が拡大したときの男女の学力差が縮小(または拡大)する可能性も考えられることに気がついた。そこで、現在は男女の不平等度と男女の学力差との非線形の関係に注目して分析を行なっている。今年度は非線形の関係を考慮した分析の結果が頑健であるかについて確認を行い、論文をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている分析の頑健性を確認するためにさらに推定を行う。コロナ禍も落ち着き、対面での国際学会報告も可能になったため、得られた結果を国際学会等で成果を報告する。報告を行なってフィードバックを受け、論文をさらにブラッシュアップし、査読付き雑誌への投稿を目指す。
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