研究課題/領域番号 |
21K01539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 哲生 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50305661)
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研究分担者 |
荒渡 良 同志社大学, 経済学部, 准教授 (20547335)
内田 雄貴 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (30805495)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 財政ルール / 政治経済学 / 世代重複モデル / 公教育支出 / 支出ルール / 逸脱ルール / 現在バイアス / 確率的投票 / 公債上限 / 公債シーリング |
研究開始時の研究の概要 |
多くの国で財政政策の選択に制限を課す各種財政ルール(公債上限ルール, 均衡財政ルール, 支出上限ルール等)が導入されている. 財政ルールの導入は, 財政規律を高める一方で, 政府が選択する財政政策を通じて, 世代間の格差や厚生に影響する. どのような財政ルールを導入することが資源配分の効率性, 世代間厚生の観点から望ましいのか, 政府が政策選択に制限を課す財政ルールを導入するのはなぜか, また, 以前に導入された財政ルールを政府が将来破る誘因は何か, といった問いに本研究課題は取り組む.
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研究実績の概要 |
2024年度は,次の2つの研究を行った.一つ目の研究では,人口高齢化が財政政策と世代間財政負担に与える影響を分析した.日米(2000年~2070年)を対象としたモデルベースのシミュレーション分析から,今後の高齢化の進展によって,日本は米国に比べて労働所得税率が高く,公的債務の対GDP比が大きく,政府支出の対GDP比が低くなるという予測が得られた.特に2040年以降,日本は資本税率で米国を上回ると予測される.
二つ目の研究では,財政ルールからの逸脱を考慮したモデル分析を通じて,最適な財政ルールを2期間政権交代制の枠組みで特徴付けた.与党は将来的な政権交代に備え,国債発行の増加を通じて自身に有利な支出を確保することを目指す.本研究は,支出ルールと逸脱ルールの2つの財政ルールをモデルに導入し,支出ルールからの逸脱には立法府の承認を必要とする状況を想定した.この枠組みの下で我々は,最適な逸脱ルールを示し,厳格な支出ルールに対する柔軟な対応が支持されることを明らかにした.さらに,初期債務残高が大きいほど支出ルールの厳格化が正当化されるが,最適な逸脱ルールは初期債務残高の影響を受けないことも示された.また,政治的対立は逸脱ルールの許容性に影響を与え,対立が激化するほど与党の選好に沿ったものとなることが示された.
研究期間全体としては,上記の研究成果に加え,社会厚生の観点から望ましい国際的な協調財政ルールの設計と,公的教育支出に関する下限ルールの導入が経済成長に与える影響を分析した.
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