研究課題/領域番号 |
21K02137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大畑 素子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60453510)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 加熱香気 / 嗅覚刺激 / 自発運動 / フラネオール / 中枢の摂食調節 / メイラード反応 / ヒドロキシフラノン / 香気成分 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、加熱調理において生成する香気成分を嗅ぐことによって誘発される摂食調節機能を、生理学的および行動学的アプローチで解析・評価することである。特に、加熱調理中に起こるメイラード反応で生成するヒドロキシフラノン化合物の嗅覚刺激によって、中枢の摂食調節機能に関連した遺伝子発現に及ぼす影響を検証する。具体的には、摂食促進およびエネルギー代謝促進に深く関与する神経ペプチドであるオレキシンに着目し、オレキシンおよびオレキシン受容体の発現量の変化を解析および評価する。
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研究実績の概要 |
食品メイラード反応で生成される代表的な香気成分にフラネオールがある。先行研究では、ラットへのフラネオールの嗅覚刺激が摂食量の有意な増加を引き起こす一方で、対照群と比較して体重は変化しないことを明らかにしている。本研究では、フラネオールの嗅覚刺激が食欲の増進およびエネルギー消費の増加の両方に関与していると考え、摂食量、体重および自発的運動量への影響を検討することを目的とした。令和3年度は化学分析によりフラネオール呈示濃度を10000ppmと設定したが、令和3年度の研究実績概要に記載の通り、摂食量および体重に変化がなく、ANIMEXを用いた自発運動量においても劇的な変化がなかった。さらにストレス反応に関わるホルモンとされる副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の遺伝子発現量が嗅球において増加する傾向が観察された。そこで令和4年度は再度フラネオールの呈示濃度を検討し直し、先行研究でラットに呈示した濃度(85.5ppm)がマウスにおいても嗜好性が高いことを行動評価より明らかとなったため、令和4年度以降は85.5ppmでの呈示に変更した。フラネオール呈示群(F)および対照群(C)を準備し、摂食量、体重、自発運動量を6週間継続して測定した。その結果、摂食量および体重は両群で同等の増加を示し、差は見られなかった。自発運動量は、Cと比較してFで4週目で有意な増加、3および6週目で増加傾向が示された。視床下部における遺伝子発現量を解析したところ、オレキシン(Orexin)およびオレキシンレセプター2(OX2R)で有意な発現量の減少が示された。OrexinおよびOX2R発現の減少は、自発運動環境下のマウスにおいて運動促進に関連した可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フラネオール呈示濃度の再検討を実施したが、行動実験および中枢における遺伝子発現量の解析に着手できた。また、令和3年度のデータの再現性を確認できただけでなく、令和4年度新たな知見も得ることができ、そのメカニズム解明に向けた実験にもすでに取り組みつつある。現在は、脳切片を作成し、免疫染色して神経細胞の活性化と行動実験から導かれた表現型の関連性についても解析しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、フラネオールの嗅覚刺激は、摂食に直接的な影響がなく、自発運動量が顕著に増加するメカニズムの解明に着手する。同時に、脳の免疫染色で明らかとなった神経細胞の活性化と行動実験から導かれた表現型の関連性についての解析も継続して実施する。さらに、フラネオールの類縁体であるHEMFを用いた構造的活性相関の有無についても実施する。
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