研究課題/領域番号 |
21K02203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
北野 秋男 日本大学, 文理学部, 教授 (50169869)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 地方学力テスト / 教育政策テスト / 学習指導改善テスト / 標準学力テスト / 学力と評価 / 学力と知能 / 全国教育研究所連盟 / ナショナル・テスト / 学力調査 / 教師作成テスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、47都道府県における戦後以降における地方学力テストの歴史的実態を実証的・構造的に解明することを試みる。そのための資料調査と収集を各県立図書館、教育研究所(センター)、国会図書館などで実施する。具体的な課題は、第一には、戦後から今日までの地方学力テストの歴史的展開を47都道府県ごとに分類整理した「地方学力テストの実施一覧表」作成することである。第二には、この一覧表に基づいて、地方学力テストの実態を共通の分析項目に基づいて記述・体系化することである。第三には、地方学力テストの実施内容をいくつかの分析視点によって解明することである。
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研究実績の概要 |
本年度の第一の研究実績としては、北野秋男著「『全国学力テスト』の歴史的展開-『地方学力テスト』への影響-」日本大学人文科学研究所『研究紀要』第104号(2022.9.30.)147-172頁を刊行した。この研究では、これまで収集した資料を基に、戦後の学力テスト政策に影響を及ぼした「ナショナル・テスト」や「全国規模の学力テスト」の歴史的展開を解明しつつ、とりわけ各都道府県が実施主体となる「地方学力テスト」(以下「地方学テ」)への影響を考察した。本研究においては、第一には戦後から今日までの「全国学力テスト」の実施状況を時期区分し、各時代における学力テストの実施状況を解明した。本研究が取り上げた「全国学力テスト」とは、実施規模は様々ではあるものの、全国の小・中学校の各学年を対象としたものである。第二には、「全国学力テスト」に対する教育政策的な評価を行なうことではなく、その実施内容と「地方学テ」への影響を考察した。 本年度の第二の研究実績としては、北野秋男著2022『地方学力テストの歴史-47都道府県の戦後史-』(風間書房、639頁)を刊行した。本文が10章、序章と終章、ならびに〈資料編〉として「都道府県別地方学力テストの実施状況一覧」を加えた。特に、この「実施状況一覧」は本書の地方学テの歴史研究の基礎的・根幹的部分を構成するものである。本書の内容は、地方学テの時期区分、実施主体、「標準学力テスト」の作成・開発の歴史、「学習指導改善」を目的とした地方学テを用いた調査研究の実態解明、学力と知能の相関、文部省「全国学力調査」の地方学テへの影響、全国教育研究所連盟の共同研究、地方学テの評価方法の実態、地方学テに及ぼした業者テストの影響、地方学テの特色ある県の分析などであった。これまでの研究成果として、特に事実関係に焦点化して全国の地方学テの実態を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は、学会発表2件、学術論文1件、単著1件を研究業績として出すことが出来た。学会報告としては、日本教育学会第80回大会(自由研究発表)「「岩手事件」のその後-岩手県の学力テスト政策-」筑波大学(2022.8.24.)と日本学習社会学会第19回大会(自由研究発表)「「戦後最長」の地方学力テスト-福井県SASAの歴史-」東京学芸大学(2022.9.3.)を行った。いずれも、これまで収集した資料に基づいて、岩手県と福井県における学力テストの歴史的展開を解明した。 また、これまでの研究成果としては、書評「ハロルド・バーラック他著(渡部竜也他訳)2021『真正の評価-テストと教育評価の新しい科学に向けて-』図書新聞(2022.3.26.)において、新しい評価の考え方である真正の評価を論評した。単著「『全国学力テスト』の歴史的展開-『地方学力テスト』への影響-」日本大学人文科学研究所『研究紀要』第104号(2022.9.30.)147-172頁では、わが国のナショナル・テストにおける歴史的展開と地方学テへの影響を考察した。単著『地方学力テストの歴史-47都道府県の戦後史-』風間書房(2022.12.20.)では、全国の地方学テの実態を資料に基づき事実関係を中心に解明した。以上、本研究の進捗状況は非常に良好で、順調ではあるものの、各都道府県における資料調査と発掘、さらなる内容分析が今後の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最大の課題は、前年度同様に各都道府県における県立図書館、市立図書館、県立(総合)教育センターなどの学力テスト関係の一次資料の収集と分析である。さらには、各都道府県の学力テスト関係の先行研究の収集と分析、学力テストの歴史的展開を分析する理論的な枠組みの構築が重要となる。まずは、各都道府県の学力テスト関係の先行研究の分析、並びに各都道府県ごとの学力テストの歴史的展開の解明と特徴の分析などを行うことを優先する。このことが、日本の地方学テの歴史的役割を解明することになるし、また現代の学力テスト政策の基盤構造の解明と今後の学力テストのあり方の解明にもなりうる。 本研究では、単著2022『地方学力テストの歴史-47都道府県の戦後史-』(風間書房、639頁)を刊行し、当初の目的は達成したとはいえ、この研究をベースに各都道府県ごとの地方学テの特色や差異の解明を次なる目標に据えたいと考える。このことにより、わが国の地方学テの戦後から現代までの展開の全貌を解明できると考える。
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