研究課題/領域番号 |
21K02311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
白井 章詞 長崎大学, キャリアセンター, 准教授 (90615262)
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研究分担者 |
児美川 孝一郎 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (50287835)
小田部 貴子 九州産業大学, 基礎教育センター, 講師 (80567389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ノンエリート / キャリア形成 / 地方 / 女性 / 高卒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、①地方に留まる文系のノンエリート型の若者を対象としたキャリア教育を構想するための示唆を得ることである。得られた示唆をもとに、②仮説的な理論フレームに則ったキャリア教育の構築を見込んでいる、ことである。この目的に対し、教育機関および社会人を対象に、学校教育のなかで先送りされてきた課題を特定し、それがその後のキャリア形成に与える影響を解明する。
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研究実績の概要 |
研究2年目は、2つの調査・研究を実施した。 第1は、長崎県の県立高校において取り組まれている「ふるさと教育」の教育効果について、大学、各種専門学校の卒業年次生を対象としたアンケート調査の結果から検討を行った。その結果、「ふるさと教育」の代表的な教育効果として、ふるさとへの愛着形成があると認められた。一方で、そこでの学びが進学先や卒業後の進路選択に与えた影響は限定的であったと考えられた。 第2は、地方に滞留するノンエリートのキャリア形成の実態把握を目的として、キャリアの確立期とされる35-45歳の女性(ホワイトカラー)5名を対象に質的研究を実施した。限られた事例からの検討であったが、得られた知見としては以下の3点であった。①高卒者の一般事務職採用であっても、入社後、頻繁な人事異動による幅広い職業経験を蓄積していた。入社後の異動回数は、多い人で8部署、少ない人でも4部署を経験していた。②やりたいことを仕事にしているのではなく、人事異動によって幅広い職務を経験する働き方であっても、徐々に得意分野や専門性を構築していたことであった。そのために重要なことは、柔軟性、好奇心、忍耐が浮かび上がってきた。③高卒女性が働くなかで遭遇する躓きについて、キャリアの不安定化要因とそれへの対処という枠組みで実態把握を行った。その結果,9個の小カテゴリーと3個の大カテゴリーが生成された。 得られた知見をもとに、今後はより多くの事例を検討し、地方におけるノンエリートのキャリア形成の実態把握と、その支援について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高卒就職者へのインタビュー数がやや少ないが、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度は、以下の3点を中心に調査・研究を実施する。 1.長崎県内企業のうち高卒者を採用している企業を対象に、高卒採用の現状と課題、入社後のキャリア開発の実態把握を行う。特に、長崎県内企業のうち高卒者を多く採用している企業を対象に実施していく予定である。 2.現在行っている高卒者を対象としたキャリア形成プロセスについての検討を引き続き実施していく予定である。今年度は、多様な産業・職種を調査事例に含めつつ、高卒者のキャリア形成の実態と課題を把握していく予定である。 3.これまでの調査・研究によって得られた知見をもとに学会発表を行い、論文執筆につなげていく。加えて、得られた知見を高校の教育現場へ還元していくことを目指している。
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