研究課題/領域番号 |
21K02323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
武内 裕明 弘前大学, 教育学部, 准教授 (50583019)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 自由保育 / 『保育の手帖』 / 『保育専科』 / 平井信義 / 集団主義の保育 / 個と集団の関係 / 自由保育的発想 / 鈴木とく / 大場牧夫 / 『幼児の生活とカリキュラム』 / 保育内容研究会 / 三木安正 / 指導計画 / 1980年代 / 自由保育「運動」 / 自由保育論 / 受容過程 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,自由保育論の受容過程を自由保育をめざす「運動」として捉え直し,1964年から1989年の幼稚園教育要領改訂の期間における自由保育の受容過程を実証的に検討することである。 自由保育「運動」に影響を与えた雑誌と考えられる『保育の手帖』及び『保育専科』で継続的に記事を掲載する論者を絞り込んで検討対象とし,自由保育の原理に留まらず,その展開・受容過程も含めて検討することで,その成果及び課題を歴史的に考察する。 この研究を通じて,自由保育の理論が実践として展開されるうえで,理論あるいは実践のどのような部分に問題が生じたかを明らかにすることができる。
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研究成果の概要 |
本研究を通じて,自由保育「運動」の萌芽には,集団主義の保育の立場での保育実践の検討の中で,集団としての望ましさばかりでなく個の思いが重視されていく過程があったことが明らかになった。研究期間内の自由保育「運動」は,平井信義のような子ども中心の原理的な主張ばかりでなく,個と集団の関係を意識し,集団よりも個人の思いなどを重視する立場の実践が受け入れられることで受容されていった。自由保育の発想は,課業中心や集団中心の保育実践に対してはその制約を緩めるものとして効果的に機能した。一方で,既に子ども中心の発想をする保育実践に対しては,保育者の具体的な指導を妨げる機能を果たした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究を通じて,自由保育「運動」が集団主義的な保育実践などの中で生じた,個の思いをより重視する立場に始まり,集団主義的な,あるいは課業中心の保育の強い制約を緩める際に大きな貢献をしてきたことが明らかになった。当時の保育に影響を与えたのは単純な個人中心,子ども中心の主張ではなく,個と集団の関係の中での個の育ちを重視する保育実践に裏打ちされた子ども中心の原理であった。そのため,批判すべき現状がないままにより自由な保育が志向された場合には,自由保育の発想は保育者の指導を妨げ,放任に近い状況を誘発することにつながる。自由保育の発想が放任に近づく原因を歴史的に明らかにした点に本研究の重要な意義がある。
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