研究課題/領域番号 |
21K02703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 宏明 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50334024)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 吃音 / 幼児・児童・生徒 / 指導・支援法 / サポートブック / 合理的配慮 |
研究開始時の研究の概要 |
吃音のある幼児から高校生の困難やサポートニーズの実態調査に基づく検証を踏まえた「吃音のある幼児から高校生のためのサポートブック」(吃音SB)を活用した指導・支援の有効性や課題を検証する。 本研究では、まず、子ども、保護者、通級指導担当教員、言語聴覚士を対象に、吃音のある幼児から高校生の困難やサポートニーズの実態調査を行う。続いて、実態調査に基づく検討を踏まえた吃音SB試案を作成する。最後に、吃音SB試案の、(a)子ども、保護者、通級指導担当教員、言語聴覚士、学級担任への質問紙調査、(b)教育相談などでの試用に基づく検証を踏まえた吃音SB完成版の作成と、吃音SBを活用した指導・支援の提唱をする。
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研究実績の概要 |
吃音のある子どもの保護者15名に発吃時から現時点までの子どもの吃音に関する困難(子どもが発吃した時の気持ち、吃音で困ったことなど)及び支援の実態と要望(嬉しかった/うれしくなかった支援、支援の要望など)についての半構造化面接を行った。その結果、子どもの吃音に関する困難については、(a)幼児期は、吃音について知らない保護者が多く、その場合は吃音に関する困難は特に生じない、(b)小学生以降は、発表や、他児からのからかいに困る保護者が多いことが示された。また、支援への実態については、(a)幼児期は、どこに相談したら良いかわからない保護者が多い、(a)学齢期以降は、教員の吃音の理解の程度で、吃音の困難が大きく変わることが示された。さらに、支援の要望については、幼稚園や学校の先生の吃音の理解の向上や、相談・治療・支援機関についての情報の充実、相談・治療・支援の履歴が一覧できる手帳の開発・普及などが挙げられた。これらの結果から、(A)吃音について知らない保護者が多かったことから、母子保健や幼稚園などでの吃音の情報提供の必要がある。(B)小学校では言葉の教室の支援の有効性が高い、(C)今回の調査対象者の抱える困難の背景に、吃音の相談・治療・支援機関に関する情報の不足や、教員の吃音への理解の不足があると考えられた。 上記の結果に基づき、昨年度作成した「吃音のある幼児から高校生のためのサポートブック(吃音SB)試案」及び「吃音の困難チェックリスト(困難CL)」試案の改訂を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のため、今年度実施予定の吃音のある子ども、吃音のある子どもの指導・支援に従事している通級指導教室担当教員や言語聴覚士を対象とした面接調査が実施できなかった。また、今年度、海外の学会での研究発表を予定していたが、新型コロナウイルス感染症のため海外渡航が出来ず発表ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるため、今年度まで実施できなかった吃音のある子どもの指導・支援に従事している通級指導教室担当教員や言語聴覚士を対象とした面接調査を実施すると共に、これらの調査結果に基づき「吃音SB試案」及び「困難CL試案」の改訂を行う。また、改訂版「吃音SB試案」及び「困難CL試案」について、吃音のある子どもとその保護者、通級指導担当教員、言語聴覚士、学級担任を対象とした質問紙調査や、筆者が行なっている吃音のある幼児・児童・生徒を対象とした教育相談での試用を通して、内容や有用性を検討する。そして、これらを踏まえ、吃音SB完成版の作成及び、吃音SB完成版を活用した指導・支援方法の提唱をする。さらに、本研究の成果について、国際学会での発表及び論文執筆を行う。
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