研究課題/領域番号 |
21K03267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永幡 幸生 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50397725)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | スペクトルギャップ / 粒子系 / ランダムウォーク / ゼロレンジモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で取り扱う粒子系は、気体運動を簡略化した確率モデルです。これらのモデルは適切な時間―空間のスケール変換を行うことで様々な様相をみせ、あるスケール変換では確率モデルから決定論的な非線形拡散方程式を、別の変換を用いると、揺動として拡散過程を、また別の変換を行うことにより確率偏微分方程式のKPZ方程式を得ることができます。これらのスケール変換が数学的に適用できる技術的前提条件の一つとして、スペクトルギャップの詳細評価が挙げられます。一方でこの評価はモデル依存性が大きく、部分的にしか解決されていません。本研究では先行研究を基に多くのモデルで適用可能な評価法の構築を行います。
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研究実績の概要 |
本研究の主目的であるzero-range process のスペクトルギャップの研究に関して、既存研究の拡張に関して、制約はつくものの、満足のできる結果を得ることができた。 より詳しく述べると、以下のようなものである。既存研究である Landim-Sethurman-Varadhan らによる研究では「Lu-Yauによるマルチンゲール法の適用」「1点関数のスペクトルギャップの評価」「漸化式の構成およびその一般項の評価」に分割できるが、「1点関数のスペクトルギャップの評価」に関しては1年目に期待される良い結果を得られている。2年目である本年度は「Lu-Yauによるマルチンゲール法の適用」を研究したが、そもそも既存研究においては、期待される(得られる)スペクトルギャップは粒子数密度には依存しない。それに対して本研究で取り扱うものは期待されるスペクトルギャップが粒子数密度に依存する。マルチンゲール法を適用するにあたって、ヘルダー型の関数不等式を適用する必要があるが、既存研究においては粒子数密度に依存しないため、ヘルダー型の関数不等式を適用すれば、期待する結果を得られていたのに対して、粒子数密度に依存する場合にヘルダー型の不等式を適用すると、期待する結果を得ることができない。これに対して本研究ではヘルダー型の不等式を使わずに、モデルの特性を活用して評価をすることにより、マルチンゲール法を適用可能になり、その結果「漸化式の構成およびその一般項の評価」もクリアすることができ、粒子数密度に依存したスペクトルギャップの評価をすることが可能になった。ただしモデルの特性を活用するため、制約条件が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存研究の拡張に関しては、十分な結果を得られたが、もう一つの計算機を用いた研究が、zero-range process を含むような粒子系で、どのように実装するかで、困難な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
既存の研究の拡張に関して、論文にまとめ公表する。 計算機を用いた研究に関しては、ひとまず粒子系よりは単純で、かつ自明でない問題例に関して実装を試みる。
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