研究課題/領域番号 |
21K03354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
土屋 拓也 八戸工業大学, 基礎教育研究センター, 准教授 (50632139)
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研究分担者 |
中村 誠 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (70312634)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 構造保存型数値計算 / Klein--Gordon方程式 / 完全流体 / Klein-Gordon方程式 / 発展型偏微分方程式 / エネルギー運動量保存則 |
研究開始時の研究の概要 |
計量に対する非線形偏微分方程式である重力場の方程式においては、高精度な解を求める研究が申請者を含め、これまでに広く行われてきた。一方で、エネルギー運動量保存則から得られる、物質の配置を決定する発展方程式に対しては、高精度な解を求める研究はさほど行われていない。本研究では、スカラー場と完全流体の2つのケースに限定してエネルギー運動量保存則を表す発展型偏微分方程式を適切に離散化することで、高精度な数値解を得ることを目的とする。特に本研究では、高精度な解を求めることに加えて、求めた解の精度を解析的な側面から保証することも行う。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、スカラー場の支配方程式であるKlein--Gordon方程式に対する高精度な数値計算手法の構築について行い、当該年度からはさらに完全流体に対してその高精度な数値計算結果を得るための計算手法について研究を行った。まずKlein--Gordon方程式に対しては、数値誤算の主要因となる2階微分項の離散化処理についてその原因と対処法について詳細に調べた。また、縮退する時空のように特異点を形成するために数値的に不安定性を生じやすい時空中における解の性質を調べた。 一方、完全流体についてはEinstein方程式とカップリングをさせながら重力崩壊の数値計算を行い、完全流体の支配方程式に対して数値安定性と計算精度を向上させる工夫を部分的に施した。 論文として、昨年度投稿中であった``Stable numerical simulation of Einstein equations in gravitational collapse space--time''、``Numerical simulations of semilinear Klein--Gordon equations in the de Sitter spacetime with structure preserving scheme''の受理と、``On the stability of covariant BSSN formulation''、``Numerical accuracy and stability of semilinear Klein--Gordon equation in de Sitter spacetime''の投稿と受理がされた。また、関連する成果として応用数理学会での発表をはじめ、12件の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、2年目までにスカラー場に対する非線形半群を用いた誤差解析を行うこと、完全流体に対する解析力学的な方程式の導出と数値計算を行うことを予定していた。現状ではスカラー場の非線形半群を用いた誤差解析、完全流体の解析力学的な方程式は共に未完成である。一方で、スカラー場に対する数値誤差の主要因の特定とその対処法が構築出来つつあることと、完全流体に対する高精度かつ安定な離散化方程式の構築が部分的に出来つつある現状を鑑みて、プロセスは予定通りではないものの、研究目的の達成度自体はほぼ予定通りとみなせると判断したためである。 加えて、研究計画では主に2年目と3年目に執筆予定であった論文について、初年度から投稿ができており研究業績の観点からは予定より早いペースで実績が積めているとも判断できる。 以上のことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Klein--Gordon方程式に対する数値安定性と数値計算の精度に関する調査を引き続き行い、論文を投稿していくことが最優先事項である。研究計画にあるスカラー場に対する非線形半群を用いた解析と完全流体に対する解析力学的なアプローチについても、引き続き調査を続行していく予定である。また、ここまでの成果についてその効果の検証のため、スカラー場の方程式であるKlein--Gordon方程式と完全流体に限らず、別の方程式系に対してもその成果を適用し、数値安定性と精度の研究をより精密に実施する予定である。
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