研究課題/領域番号 |
21K03648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
高橋 隼 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任助教 (80648957)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 装置開発 / 生命探査 / 地球 / 太陽系外惑星 / 偏光 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系外惑星に住む生命を見つけるには何を観測すればよいのだろうか? 本研究では「生体分子のホモキラリティ」に起因する円偏光に着目する。「生体分子のホモキラリティ」とは、生体分子には鏡像関係にある2種類の立体構造があるにもかかわらず、片方の種類に偏って存在することを指す。ホモキラリティを持つ物質の反射光は円偏光することが知られる。つまり、円偏光が生命の存在を示す痕跡のひとつになるかもしれない。
円偏光を用いた生命探査の実現可能性を評価するには、まず、地球の円偏光度を知る必要がある。しかし、実測成功例がまだない。そこで、本研究では新たな観測装置を開発し、地球の円偏光度を測定することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、月面地球照を観測し地球のホモキラリティ円偏光を測定することを目指す。この観測を実現するために、精密偏光観測装置 POPOを開発する。POPOは、「高速位相変調」という技法を用いることで高精度の(直線および円)偏光観測を可能にする。今年度はPOPOの「完全な撮像装置化」を達成した。 前年度の段階では、POPOが持つ2系統の光学系のうちの一つに高速カメラが取り付けられ、片方の光学系でのみ撮像観測が可能であった(もう片方の光学系では空間分解能のない測定)。月面地球照の観測では、背景光の正確な除去のために撮像(光強度の空間分布の取得)が重要である。今回、もう一方の光学系にも高速カメラを取り付け、2台のカメラと液晶位相変調器を高速(最高 200 Hz)で同期制御することで、両系統での偏光撮像観測が可能になった。 POPOを西はりま天文台なゆた望遠鏡に取り付け、2台のカメラによる天体の偏光撮像観測に成功した。2.7等(Rバンド)の無偏光標準星を5分間観測したところ、直線偏光の度合いを表すストークス q, u の標準誤差は両カメラとも 約20 ppmであった。円偏光の度合いを表すストークス v の標準誤差も 約20 ppmであった。ほぼ想定どおりの精度が出ている。 2台目のカメラを取り付けるにあたり、偏光分離素子をウォラストンプリズムからキューブ型素子に変更した。ウォラストンプリズムの分離角度に波長依存性があるため、変更前の光学系で天体像が波長分散され細長く伸びてしまう問題があった。キューブ型素子に変更したことで波長分散がなくなり、天体(点源)像がほぼ真円になることを確認した。 これまでの開発により、本研究で実施する観測に必要な「円偏光観測機能」および「撮像機能」の実装ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通り、観測装置POPOの基本機能の実装が完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
観測装置POPOについて必要な機能の実装は達成したが、主として観測の効率化のための軽微なハードウェア改良やソフトウェア開発が必要である。また、簡易的な性能確認は実施済みであるが、詳細な性能評価も必要である。これらの完了後、西はりま天文台にて月面地球照を含む太陽系天体の円偏光観測を実施する。
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