研究課題/領域番号 |
21K03746
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高橋 護 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (90261651)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ダイヤモンド皮膜 / 材料加工・処理 / 表面・界面物性 |
研究開始時の研究の概要 |
医療現場で良く使用されている手術用メス,ハサミ等の手術用器具は,物理的な強度,耐食性,衛生管理等において改善すべき問題が存在する.このような医療器具の問題点を解決することが可能な技術開発が求められている.よって,本研究では,切除術の手術用メスの表面の硬質化による強度,耐摩耗性,耐久性の向上ならびに鋭い切れ味を得るため,ダイヤモンド合成可能な燃焼炎法により界面はく離を抑制しながらナノ結晶ダイヤモンド皮膜を手術用メス材料上に直接合成し,皮膜の接合強度の評価を行う.さらに,実際に使用されている切除術の刃物表面に直接ナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成を行い,合成後の手術用メスの切開性能の評価を行う.
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研究実績の概要 |
昨年度までは,通常のアセチレン-酸素ガスを用い,現在までの研究で得られている合成条件を適用し合成を行った.この際,合成後にステンレス鋼基板上に皮膜を合成することが可能となったが,合成後,合成された皮膜がはく離してしまう現象が発生した.本年度は,このはく離が発生する現象を抑制するためのダイヤモンド皮膜の合成条件をさらに検討し,ステンレス鋼基板上に燃焼炎によりダイヤモンド皮膜の合成を行った.ここで,現在までの先行研究において燃焼炎の白心から基板表面までの距離(白心距離)がダイヤモンド皮膜の接合に影響を与えることがわかっている.そのため,合成の際に白心距離をパラメーターとして変化させ合成を行った.この際,合成中における合成温度を一定,基板表面の粗さも一定として合成を行った.その結果,合成後にステンレス鋼基板上に合成された皮膜が若干はく離してしまう現象が発生したが,皮膜を合成することが可能となった.また,合成された皮膜の特性評価を走査型電子顕微鏡,ならびにX線回折装置を用いて行い,ダイヤモンド皮膜が合成されていることを確認した. その後,高純度アセチレン-酸素ガスに窒素を添加した混合ガスを用い,ステンレス鋼基板上にナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成を行った.この際,ダイヤモンドを合成する前にステンレス鋼基板の前処理として基板表面のスクラッチング処理を施し,基板表面の粗さを変化させた基板上に合成を行った.ここで,合成中における合成温度を一定,また,燃焼炎の白心距離も合成中に一定として合成を行った.その結果,合成後にステンレス鋼基板上に合成された皮膜が若干はく離してしまう現象が発生したが,皮膜を合成することが可能となった.また,合成された皮膜を走査型電子顕微鏡等により合成皮膜の特性評価を行い,ナノ結晶ダイヤモンド皮膜が合成されていることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までは,通常のアセチレン-酸素ガスを用い,合成後にステンレス鋼基板上に皮膜を合成することが可能となったが,合成後,合成された皮膜がはく離してしまう現象が発生した.したがって,本年度は,このはく離が発生する現象を抑制するためのダイヤモンド皮膜の合成条件をさらに検討し,ステンレス鋼基板上に燃焼炎によりダイヤモンド皮膜の合成を行った.ここで,燃焼炎の白心から基板表面までの距離(白心距離)に着目し,合成の際に白心距離をパラメーターとして変化させ合成を行った.この際,合成中における合成温度を一定,基板表面の粗さも一定として合成を行った.ここで,合成後にステンレス鋼基板上に合成された皮膜が若干はく離してしまう現象が発生したが,ダイヤモンド皮膜を合成することが可能となった. その後,高純度アセチレン-酸素ガスに窒素を添加した混合ガスを用い,ステンレス鋼基板上にナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成を行った.この際,基板表面の粗さを変化させた基板上に合成を行った.ここで,合成中における合成温度を一定,また,燃焼炎の白心距離も合成中に一定として合成を行った.この際,合成後にステンレス鋼基板上に合成された皮膜が若干はく離してしまう現象が発生したが,ナノ結晶ダイヤモンド皮膜を合成することが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
高純度アセチレン-酸素ガスに窒素を添加したガスを用い,ステンレス鋼基板上にナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成を行った結果,合成後にステンレス鋼基板上に合成された皮膜が若干はく離してしまう現象が発生している.したがって,はく離を完全に抑制できる合成条件の検討を引き続き行う.また,現有設備である引っかき試験装置を用いてナノ結晶ダイヤモンド皮膜を施したステンレス鋼基板の引っかき試験を行い,はく離が生じる限界荷重を測定し,ステンレス鋼基板の接合強度を評価する. さらに,実際に使用されている手術用メスの形状に対して,手術用メス表面の周辺全体(切刃部分)にまんべんなくナノ結晶ダイヤモンド皮膜を施すために,これまで得られたナノ結晶ダイヤモンド皮膜を合成可能な最適条件を用い,ナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成を行い,その後,切開性能評価を行う.
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