研究課題/領域番号 |
21K03765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 航圭 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60619815)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 粘着現象 / はく離強度 / ピール試験 / 粘弾性 / 粘着 |
研究開始時の研究の概要 |
粘着テープのはく離力は,粘着剤層厚さ,テープ基材厚さに依存することから,粘着現象の理解に基づいてはく離強度を汎用的に評価する技術が求められている. 本研究では,粘着テープのはく離力が,粘着剤層と被着体の間の界面力,粘着剤層の伸縮,テープ基材の曲げ変形に起因する点に着目し,界面力を表すマグネットシート,粘着剤層を表すシリコンゲル,基材を表すPETフィルムを用意することで,はく離力におけるこれらの寄与を個別に評価する独自手法に取り組む.
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研究実績の概要 |
今年度は,粘着テープのはく離力における粘着剤層と被着体の界面力,ならびに粘着剤層の伸縮における粘性散逸の寄与を個別に取得するための模擬サンプルではく離試験を行った.模擬サンプルは,超弾性ゲルシートの一面にPETフィルムを貼り付け,逆側の面に鋼ピンを敷き詰めて貼り付けたものである.鋼ピン側をネオジウム磁石に磁力で接着し,PETフィルムを引き上げてはがす際のはく離力を測定した.これにより,鋼ピンとネオジウム磁石の間に働く磁力を界面力,ゲルシートの伸縮を粘着剤層の粘性散逸として表すことができる.また,比較のためにPETフィルムに鋼ピンを直接貼付け,界面力だけが生じるサンプルも作成することで,はく離力におけるゲルシート層の寄与を算出した. 結果,鋼ピンとPETフィルムの間にゲルシートが挟まれているサンプルの方が高いはく離力を示し,はく離力におけるゲルシート伸縮の寄与を実測することに成功した.そこで,ゲルシートの伸縮で消費される散逸エネルギーを直接的に取得するため,ゲルシート単体で負荷除荷試験を行った.この実験で負荷と除荷はほとんど一致したことから,ゲルシートに粘性成分ほとんどなく,超弾性体と見なせることが明らかになった.つまり,ゲルシートの伸縮が及ぼすはく離力への寄与は,粘性散逸ではなく弾性ひずみエネルギーだったことになる.そこで,はく離試験におけるゲルシートの変形量をマイクロスコープで観察し,負荷除荷試験の結果を利用してひずみエネルギーを算出した.その結果,ゲルシートの有無におけるはく離力の差異と同程度の大きさとなり,今回の実験からはく離力における粘着剤層のひずみエネルギーの寄与を実証することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,初年度に達成できなかった「粘着テープの模擬サンプルを用いたはく離力の内訳定量化」で成果を挙げることができたため,二年間を通して順調に計画を遂行できていると言える.ただし,はく離力における粘着剤層伸縮の寄与に関して,当初は粘性散逸の影響を想定したため,粘性成分が見られなかったゲルシートでは粘着テープを十分に模擬できていない.特に,粘着テープのはく離力に見られる速度依存性については,ゲルシートでは表すことができなかったため,引き続き模擬サンプルとしてより適切な材料を探索する.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,はく離力における界面力と粘着剤層伸縮の寄与を,破壊力学的な強度評価へと結び付けていく.粘着テープのはく離形状からひずみ分布を抽出し,はく離仕事との関係を表す力学モデルを構築する.これまでに確立した模擬サンプルのピール試験をマイクロスコープで詳細に観察し,変形量を定量的に捉えることで応力解析を進めていく.さらに,模擬サンプルから得た考察を実際の粘着テープへと展開し,はく離強度評価指標を確立する.
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